はじめに
この前下記の記事を書いたら結構色々なところに取り上げてもらいました。
前からこんな感じの電子工作+α的なことは良くやっているし、大してやっていることのレベルも変わっていないのに予想しないほど伸びてびっくりしています。なんでこんなに伸びたんだろうと考えたとき、私じゃなくて周りが変わったのかな、いわゆるMakerムーブメントというやつがようやくある程度認知度上がったのかなと感じました。
それに対して、コメントに「こんなん簡単だろう」というコメントがほとんど無かったことはちょっと驚きでした。実は凄い簡単なことしかやっていないんですよね。まあ本当のMakerと呼ばれるような人は、職人気質な「口動かす暇会ったらモノ作れ」的な人が多いのもあるのかなと思いますが、興味はあるけど詳しくはわからなくて一歩を踏み出せないという人が大多数なところもあるのかなと思います。
自分は、モノ作りも好きですし、色んな人が面白いモノ作ったのを見るのも好きなので、少しでもモノ作りをする人が増えたらということで、最初の一歩が踏み出せない人、とっかかりが分からない人、そして何より自分へのメモと整理を兼ねて入門記事として関連情報を簡単にまとめておこうと思います。
Makerムーブメント
実はこの説明が結構難しいというかセンシティブで、人によっても結構定義が異なったりします。自分的にはいわゆるモノ作りのパラダイムシフトなのかなと理解しています。具体的には以下のような変化です。
- 制作時間:年、月 → 週、日
- 制作者:企業 → 個人
- 生産単位:大量生産 → 小ロット
- 制作物:規格品 → カスタム品
自分の例で言うと、デジカメというものは普通なら企業で数年かけて開発して、EOS KISSなりSONY αなりという特定の機種を大量生産するという流れが通常です、それに対して今回は私が個人で一週間くらいで一品ものを作っています、しかももちろんソフトも自由にカスタムできます。今回は使っていませんが、3Dプリンタで筐体作れば外観までカスタムできますね。
何故このようなことができるかというと、次のようなファクタに支えられていると考えています。
- 無料でオープンな小型マイコンボード(Arduino, Raspberry Pi)
- 部品のネット調達(RSコンポーネンツ、マルツ、スイッチサイエンス)
- 3Dプリンタ(今回は未使用)
最近は3Dプリンタばかりが取り上げられることが多いですが、モノ作りという観点だと、上の2つも超重要です。その他は金銭面の支援と言う点だと、クラウドファンディングでしょうか。ネット上でのお金集めですね。具体的にはKickstarterというサービスで、モノ作るからお金頂戴といって個人で出資を募って資金を調達しています。
オープン、かつクイック、フリー(安価)な開発というソフトウェアで起こっている流れがハードウェアにも波及してきたという理解もできると思います。
じゃあ次はこれら3つのファクタに関して説明していこうと思います。といっても3Dプリンタはあんまり詳しくないので、今回は上の2つ中心に取り上げます。
無料でオープンな小型マイコンボード
特徴は、安い、早い(作るのが)、うまい(面白い)とラーメンみたいなやつです。オープンソースハードウェアとか言われて、ハード(回路図)やソフトが全てオープンで無料で入手できるのが特徴です。
Arudinoはどちらかというといわゆる昔ながらのマイコンに近くて、色んなアナログ的なセンサやデバイスを簡単に接続できます。Raspberry Piは超安くて小型なLinuxパソコンがイメージに近いと思います。HDMI, コンポジット出力等、音声出力等あるので、リッチな音声、映像を扱う場合はRaspberry Piを使うのがよいかと思います。
- 出版社/メーカー: スイッチサイエンス
- メディア: Personal Computers
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- 出版社/メーカー: RS Components Ltd (ソースマーキング及び販売 Umemoto LLP)
- メディア: エレクトロニクス
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安いし、ソフトも無料でUSB繋げるだけでソフトが書けます。超便利!ハードウェアもソフトもオープンなのでネット上に豊富に情報があるのもよいですね。
2015/09/19追記
今だとRaspberry Pi2がオススメです。
- 出版社/メーカー: RaspberryPi.org
- メディア: エレクトロニクス
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Arduinoの情報
適当に以下とか見ると使い方とか使用例等がわかります。まああとは適当にグーグル先生にArduinoで聞いて下さい。
色々な亜種もありますが、まずはArduino UNOあたりを買ってみるのがよいかと思います。
Raspberry Pi
Raspberry Piも色々亜種があります。Type Bってやつが一番売れていると思います。最近B+ってやつが出たので新しいもの好きな人はそっちでもよいかなと思います。mynavinewsの入門用の連載記事を見るのもよいかもしれません。
自分もそのうち書いて行くつもりです。多分、書かなかったらごめんなさいw。Raspberry Piも、ネットにもたくさん情報あるので適当にググればOKかなと思います。
2015/09/19追記
karaage.hatenadiary.jp
セットアップ記事書きました。Raspberry Pi 2も対応しています
部品のネット調達
電子部品とか、昔は秋葉原とか名古屋だと大須とかのマニアックなお店しかなかったのですが、今はネットで小ロットから買えちゃうのがよいですね。Amazonさんでも結構買えるのですが細かい部品は結構無かったりするので、自分が使ったことのあるショップを紹介します。一応今のところどこでもトラブルはありませんでした。
いくつか登録をしておくとすぐ部品が買えてよいかなと思います。
スイッチサイエンスさん
Arduino関連とかRaspberry Pi関連充実しています。その他小型LCDやちょっとした部品等。サイトもオシャレ。マルツパーツさん
www.marutsu.co.jp
スイッチとか、LEDとかちょっとした電子部品はここで探します。種類が豊富。
秋月電子さん
akizukidenshi.com
この世界の老舗ですね。ここにしかない部品だったり、ここだとかなり安い部品があったります。昔加速度センサとか買ったような記憶あります。トップページから素人をうけつけない感じが出ていますが、少し慣れれば普通に買えます。
3Dプリンタ
すみません、実は3Dプリンタ凄い興味あって欲しいのですがまだ買えずにいます。3Dプリンタサービスとかもあるのですが、自分でも試してもいないものを適当に書くにも嫌なのでまたいずれチャレンジして記事書きます。今回は省略で。
2015/09/20追記
karaage.hatenadiary.jp
Raspberry Pi2のMathematicaで計算したドーナッツを3Dプリンタでこの世に具現化しました。
Makerイベント
日本では、大きくは東京でMaker Faire Tokyoと岐阜でOgaki Mini Maker Faireが2年に一回あります。昔はMake: TokyoとかMake: Ogaki Meetingと言っていた気がしますが、いつの間にか名前変わっていました。モノ作り界のコミケみたいなものだと思います(コミケ行ったことないですが)。
Ogaki Mini Maker Faireは、1回目と2回目に行ってきました。出展じゃなくて、見ただけです。
ちょうど8/23,24に岐阜市でOgaki Mini Maker Faire 2014があるのでお近くにお住まいの方は行かれてみてはいかがでしょうか。私は今年はいけないかもですが。他にはニコニコ動画系のイベントがあるようですが、あまり詳しくないのでこちらも今回は省略で。
Maker関連ブログ
Make:
Make:というMakerブームの元祖と言える雑誌の公式ブログ。色んな電波なモノ作りの情報が掲載されています。
実は一回ここに載ったことあるのが自慢です。もう4年前ですが。このときは自慢する相手が誰もいませんでしたがw
書籍
Makerムーブメントに関する本
- 作者: クリス・アンダーソン,関美和
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/10/23
- メディア: 単行本
- 購入: 28人 クリック: 1,027回
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Make:
Make, Makerという言葉の発祥となった雑誌です。ここがブームの一番の始めで日本語の初版が発行されたのはもう8年も前です。もう色々なモノ作りをしている人を紹介している本です。見た目は結構オシャレですが、中身は結構いい感じに狂っています。
Make: Technology on Your Time Volume 01
- 作者: オライリー・ジャパン
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 2006/08/24
- メディア: 大型本
- 購入: 19人 クリック: 496回
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全部で12巻くらい出ています。私は8巻くらい持っていると思います。
ハルロック
- 作者: 西餅
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/07/23
- メディア: コミック
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モーニングで絶賛連載中の電子工作漫画。ArduinoとかRaspberry Piもばんばん出てきます。ある意味現代版ドラえもんでしょうか。超面白いのでオススメ。
完全にフィクションじゃなくて実際につくれそうなものばかりなのがよいです。実際自分もこの中での発明品の一つを実際に再現したりしています。
雑誌
トランジスタ技術、I/O、Interfaceとか。ちょっと最初のとっかかりには厳しいものが多いかもしれません。エレキジャックとかは中高校生でもできるレベルなので最初にはよいかも。近くの本屋さんで探してみて下さい。
自分が過去作ったもの
手前味噌ですが、4年くらい前から色々作ってます。
Arduino関係
2年くらい前にやったわー(ミサワ風)。最近、たまにArduinoの入門記事が話題になっていることがあるので、結構弄ってたなーと思い昔の記事を見てみたら意外にマジ...
楽器関係
楽器関係で作ったもの。
ベースとか作ったこともあります。正直このベース今凄い邪魔です。ポケット・ミクまとめ大人の科学 ポケット・ミク(NSX-39)関連情報のリンクをまとめました。完全に自分用のメモですが、需要があるかもしれないので公開します。し...
Kinectのソフトの書き方、ちょっとだけ分かってきたのでまた一個ソフト作ってみました。前から一度作ってみたかった身体を使った楽器です。YAMAHAさんのTEN...
Raspberry Pi関係(2015/09/19追記)
以下にまとめました
karaage.hatenadiary.jp
まとめ
こういうこと書いたのは、あんまりモノ作り好きな人が周りにいなくて寂しかったのがあります。自分はいわゆるモノ作りの会社で、組み込み系のエンジニアをやっているのですが、周りに実はあんまりモノ作り好きな人っていなかったりするんですよね。酷いと、回路も読めない、ソフトも書けない、エクセルマスタがいたり。なんじゃそりゃって感じです。
あんまり会社でこういう話しても、反応ないし(自分の話し方も悪かったのかもですが)、まあ自分が楽しければどうでもいっかーという冷めた自分もいたりしたのですが、やっぱりこういうのは参加する人が多いほど盛り上がるし、他の人が作ったいろいろなものを見たいなという気持ちがあったので思い切って書いてみました。
誤解しないで欲しいのは、ここで紹介したArduinoとかRaspberry Piとかはあくまでツールなので、無理に使わなくてもよいです。ただ、作れるものの幅はもの凄く広げることができると思います。最初はただの真似でも、ちょっとしたものでもよいので、何か作って公開する人が少しでも増えてくれたら嬉しいなーと思います。