ボンサイラボ製の3Dプリンタ「BS01」のセットアップ方法・注意点

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2018/01/15 全体的に微修正しました

3Dプリンタを入手しました

 ふとしたきっかけで、okuzawat(id:ayb)さんから、3Dプリンタを譲っていただきました。「憧れの個人3Dプリンタだひゃっほーい!」と思ったのが苦難の始まりでした。「BS01」に関しては、okuzawatさんや、あすみん (id:an_asumin)さんが詳しい記事を書いていらっしゃいます(あすみんさんは、今はもっと高級な3Dプリンタ使っているっぽいですが)。

https://okuzawats.com/bs01-20141023/

 ただ、入手したものの、どうやって使えば良いのかさっぱりわからないので、色々調べて見ました。組み立て後だと、以下のサイトあたりを確認しておけば、どうやら使えそうなことがわかりました。「BS01」はシングルキット・ABS/PLA両対応の前提です。

BS01 Wiki

BS01シングルキット版オンラインマニュアル本編

BS01シングル取扱説明書Rev1.2(調整編)

BS01シングル取扱説明書Rev1.3β(MAC版)

メンテナンスから

 まず、いただいた3Dプリンタ。結構色々ガタがきて動かず、自分で修理するのも難しそうだったので、おとなしくボンサイラボさんのメンテナンスプランに出すことにしました(ここらへんの前提は、あらかじめ譲り受ける前から聞いていた話なので特に問題は無いですと一応書いておきます)。

 メンテナンスが1万で、色々パーツ交換になったので1.5万円で、2.5万円くらいかかりました。

 追記:結局メンテナンスには2回出しました。詳細やメンテナンス出すときの注意は以下記事参照ください。

3Dプリントの仕方

 基本的には以下を参考に設定していきます。

BS01シングル取扱説明書Rev1.3β(MAC版)

 ただ、ABSの設定に関して記載なかったり、後で述べるようにSlicerの温度設定が抜けていたりするので、以下のBS01+の設定マニュアルも合わせて参照した方がよいです(基本的に設定はBS01とBS01+で同じようです)。

BS01+設定マニュアル Windows/Mac

必要ソフトインストール

 Macの場合は、Repetier-Hostというソフトが必要らしいので、まずはインストールします。以下のサイトからダウンロードすれば良いです。

 私は、Homebrewでインストールしました。以下コマンド一発です。

$ brew cask install repetier-host

 Repiter-hostを起動して、マニュアルを参照して設定していきます。以下は設定の値のメモです。今後良いパラメータ見つけたらアップデートしていきます。

プリンタの設定

 3Dプリンタ自身の設定です。

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Slicerの設定

 Slicerという3Dプリンタを実際に制御するGコードと呼ばれるデータを生成するソフトの設定です。プリントするときの温度や速度はここの設定で決まるので、非常に重要な項目です。

温度設定

 最初ハマったのは、エクストルーダの温度設定です。何度もプリント失敗するので、なんでだろうと思っていたら、3Dプリンタで設定した温度より、Gコードの設定が優先される(印刷中に書き換えられる)ようです。最初に見たマニュアルに書いてなかったので気づきませんでした。

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 Gコード中の、Sの値が温度。3Dプリントすると、こちらの値が優先されてしまう

 また、部屋の温度はあまり寒いと材料の特性上うまくいかないようです(反ってしまったりするようです)。部屋の暖房を入れておくなどした方が安定するかもしれませんね。

速度設定

 デフォルト設定の速度はかなり早いので、最初はゆっくりにしました。安定してきたら速度を上げていけばよいかなと思います。

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 私の設定はこんなもん

サポート材の設定

 スカートは、最初に1層目へのフィラメントの食いつきをテストするために、ぐるーっと何周かするやつです。デフォルト設定のままです。

 ブリムは5mmくらいに設定しておくと、反りにくくなるらしいです(デフォルトは0mm)。

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Z軸のキャリブレーション(ベッドの水平を調整)

 まずは、3DプリンタのHome Allボタンをクリックしましょう。3Dプリンタのベッドとインジェクタがホームポジションに自動で移動してくれます。正しく移動しなかったら、どこか壊れているので自分で治すかメンテナンスに出しましょう(自分は、最初動かなかったのでメンテナンスに出しました)。

 ここが重要です。まずはG0 Z10でZ軸に10mmくらい余裕ある位置にベッドを移動します。

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 この後、水平がとれているかを、ベッドの左下、右下、左上、右上の順に見て行くのですが、これが面倒くさいし、良くわからない…オートキャリブレーション欲しいです。

 特に注意しないといけないのは、調整の時は、値を直接入力する必要があること。例えばZが3mmのときの距離は、G0 Z3と直接入力する必要があります。最初、10mmの位置から+1のボタンをクリックして3mmに調整したのですが、直接入力した場合と位置がずれるのですよね…本当は合わないとおかしいと思うので、私の個体特有の問題なのかもしれません。

 具体的には、以下のように4隅の位置を調整します。Zの位置は各自で設定してね。

G0 X0 Y0 Z10
G0 Z3
G0 Z10
G0 X150 Y0
G0 Z3
G0 Z10
G0 X0 Y120
G0 Z3
G0 Z10
G0 X150 Y120
G0 Z3

 うまく水平がとれていない場合は、ベッドの下のネジを回して調整します。調整の要領は以下の通りです(マニュアルからの抜粋です)。

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 少しずつずらしては、四隅を確認するという地道な作業をしましょう。ぴったりになったら、キャリブレーションした値に合わせて、Slicerのオフセットの値を調整します。最初は、Zのオフセットの値を大き目にとって、徐々に詰めていくようにしましょう。最初から小さい値にすると、インジェクタがベッドのカプトンテープやベッドをガリガリと傷つけてしまいます(やってしまいました)。

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エクストルーダのチェック

 エクストルーダがうまく動くかチェックします。プリンタセッティングで、ExtruderをOnして、温度が上がるのを待ちましょう。温度は、Slicerで設定した温度で試すのが良いでしょう。

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 温度が上昇したら、Extrudeボタンをクリックしましょう。問題なければ、にゅるにゅるとフィラメントがノズルから出て来ます。うまくフィラメントがノズルから出てこない場合は、エクストルーダのチェックが必要です。

 エクストルーダがうまく動かない要因として、自分が経験したのは以下2つでした。

  • フィラメントのカスが溜まっている
  • テンションの調整が合っていない
フィラメントのカスが溜まっている

 送り出すプーリーにフィラメントのカスが溜まると、フィラメントとプーリーの摩擦が減り、うまく送り出せなくなります。BS01のエクストルーダには、フィラメント掃除用の穴がアクリルに空いているので、その穴からブラシを入れて掃除できます。

 ブラシはGUMの歯間ブラシが公式で推奨されています。良いらしいです。最初、掃除する穴があるのに気づかず、分解してしまいました(マニュアルちゃんと読めよ…)。

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 GUMの歯間ブラシ

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 こんな感じに穴から歯間ブラシを入れてカスを除去してやります

テンションの調整が合っていない

 テンションが弱すぎたり、強すぎたりするとうまく送り出せません。バネの終端の位置を変えることでテンションの調整が可能です。強めにするのが良さそうに感じました。私は下の写真のように、一番外側から2つ目の穴を使っています。

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3Dプリント

 プリンタセッティングで、ExtruderとHeated bedをHeat Onして、温度が上がるのを待ちましょう。温度は、未だ試行錯誤中です。

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現在の温度は、右下に表示されています。

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 温度が上りきってプリントできる状態になったら、IDLEと表示されます。そしたら、RUNして3Dプリントを開始します。

 最初は、会社で使っている3Dプリンタと比較しようと思いしようと思い、テスト用に以下のデータをプリントすることにしました。

 ちなみに、会社で使っている3Dプリンタに関しては以下参照下さい

 いよいよ3Dプリント!

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 3Dプリント中

 3Dプリントって、見てるだけでワクワクしてきます。

3Dプリント結果

 今の所全然うまくいってません…

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 最初の時点で失敗

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 途中でエクストルーダから射出されなくなり失敗。左がBS01、右がUP Plus2で造形したもの

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 一応最後までいったけど、なんかスカスカ。あとめちゃ焦げてる!もちろん左がUP Plus2で右がBS01です。

 3Dプリンタマスタへの道は遠い…

追記:ようやくまともにプリントできるようになりました。詳しくは以下記事参照ください。

まとめ

 3Dプリンタを設定してテストプリントまでしてみました。色々試行錯誤してみて、重要だと感じたのは、以下でしょうか。

  • Z軸のキャリブレーション
  • 速度設定
  • 温度設定(部屋の温度管理含む)
  • フィーダの掃除、フィーダのテンション

 ちなみにフィーダーの掃除は、掃除する穴があるのに気づかず、分解してしまいました(マニュアルちゃんと読めよ…)。GUMの歯間ブラシが良いらしいです。

 UP Plus2だと、デフォルトの状態で何も工夫せず綺麗に3Dプリントできたのですが、BS01は、そう簡単には行かないようです。その分、多少3Dプリンタには詳しくなったような気がします。

 メンテナンスやなんやかんやで4万円くらいかかってしまったので、最初からUP Mini2とかUP Plus2を頑張って買った方が良かったのでは…と思ったり思わなかったり。ただ、ネットで見るとBS01でかなりキレイに造形している人もいるようなので、BS01の可能性を信じてもう少し頑張ってみようかなと思います。使い倒して、まだ物足りなくなったらそのときは、高級な3Dプリンタの購入検討したいなと思います。

 ちなみにUP Plus2は、はてなブログだと、デザイナー脂肪のいまがわ (id:i_magawa) さんが使っています。以下の記事とかめちゃ羨ましい。

関連記事

参考リンク

BS01シングル取扱説明書Rev1.1(テーブル組立編_ABS_PLA)
カプトンテープの張り替えに関してはこのページ参照。カプトンテープの代わりにBuildTakを使うのも良さそう

3Dプリンター『BS01+』の調整メモ ~ 1層目が大事 ~

BS01テスト用STL ファイル - Google ドライブ

最近の自分のBS01まとめ | MUDAなことをしよう。

綺麗に造形するコツ - BS01 Wiki