またSDカードを買ってしまいました
私はデジカメ用に32GBのSDカードをAmazonで定期的に購入しています。今日も来週の旅行に備えてSDカード1枚購入しました。データ消して使えばよいじゃんと思う人もいるかもしれませんが、私はあんまりSDカードというメディアを信用していないので、古いやつは定期的に捨てています。
ネットを見ているとSDカードの特性とか、寿命に関して書いてある記事をみかけるのですが、結構大きく誤解されていることが多い気がするので、SDカードに関する自分の理解をまとめておこうかと思います。
SDカードの特徴
あくまで現時点での私の理解です。一応仕事柄多少は詳しいつもりですが、専門家ではないので間違っている可能性あることはご了承下さい(こっそり指摘してもらえるとうれしいです)。またデバイスの製造プロセスや内部のファームウェアのアルゴリズムは日進月歩で変わって行くので、時がたつと当てはまらないことも出てくることをご了承下さい。
NOR FLASHとNAND FLASH
まず前提として、電子機器に使われているフラッシュメモリにはNOR FLASHとNAND FLASHがあります。一言で言うとNOR FLASHは書き込み回数多いのですが容量少なく、NAND FLASHは書き込み回数少ないのですが大容量です。そしてSDカードはNAND FLASHに分類されます。最近ハードディスクの代わりによく使われるSSDもNAND FLASHで似たような特性を示します。もちろんもっと細かい違いや、それぞれのFLASHにもまた色々種類はあるのですが今回は省略します。
SDカードの書き込み回数は100回くらい
10万回くらい書き込めると思っている人が結構いますが、多分NOR FLASHと誤解されていると思っています。よく一声100回とか言われます。といってもこの数字は温度や電圧等のワースト条件でのものなので、普通に使っていたら500回くらいはいけるんじゃないでしょうか。ネットで調べるとプロセス等でも結構変わるみたいですね。
また、100回というのはセル毎の寿命の話なので、100回書き込んだらカードが壊れちゃうわけではなく、そのセルが壊れてしまうだけです。普通SDカードの中のファームウェアが壊れたセルは使わないように動作するので、書き込みの限界を超えると段々容量が目減りしていくような挙動を示すことになります(多分)。
書き込み中に突然電源切るとデータがぶっ壊れる
SDカードを書き込み中に電源をブチっと切ってしまうとデータがぶっ壊れます。たちが悪いのは書き込んでいるデータとは無関係のデータが壊れてしまう可能性があることです。ただ、デジカメの場合はjpegデータが多く、jpegって実は多少データ壊れても全然読めてしまうので気づかなかったりします。だから、SDにちょっとでも壊れると動作しないようなデータ(プログラムデータ等)はあまり入れない方がよいです。
また、PCでSDカードを外す時は必ずSDカードの取り外しの操作をした方がよいでしょう。デジカメの場合も、データの書き込み中に電源切るのはしない方がよさそうです(私もよくやってしまいますが)。ただ、おそらく高級なデジカメだと電源をある程度の時間保持してデータを守るような動作をすると思います。激安デジカメとかトイデジだと…ですが。
SDカードも産業用とか高級なものだと、電源の遮断に対して他のデータを守るようなファームウェアが入っていたりします。ただ、普通に電気屋で売っているSDカードはまず対策は入っていないでしょうね。
追記:読み込み時の瞬断でも壊れるケースがあるようです。
そういえばラズパイのネックはSDだというので思い出した。
— nb.o (@Nextremer_nb_o) January 6, 2021
Flash Memoryが電源断でどんなふうに壊れるのか消去、書込、読込のそれぞれで実験、なぜ壊れるのかの概要も説明。読み込みの時も電圧がかかるから電源断で壊れるんだよね(頻度は低いけど)。結構面白かった記憶。https://t.co/b1UoIEL4ZO
データの保持期間は数年程度
データの保持に関しては書いていませんでしたが、こちらも注意が必要。放置しておくと電荷が抜けてしまいデータが消えます。防ぐにはリテンションが必要で、具体的には定期的に消えて欲しくないデータをコピーして削除するという作業が必要です。SDにプログラムが入っているような市販の製品は、真面目なメーカだったら定期的にリテンションをするプログラムが入っていたりします。不真面目なメーカは多分そんなことは考えもしないでしょうね。
絶対ダメ、リテンションしてないとデータ消える “@hidekana: 先日参加したママフォト講座でも、SDカードは使い回さなくていいのではという話もありました。その時は、もう1回撮ったら消さずに、そのSDで保管すればいいじゃないか https://t.co/eLTNyh1O1E”
— からあげ (@karaage0703) 2015年9月10日
そういえばデータ保持に関しては書いてなかった。SDメモリのデータは定期的にリテンション(コピーしては消す)してないと数年で蒸発します
— からあげ (@karaage0703) 2015年9月10日
以下の例とか、SDカードをバックアップメディアとして使う危険性が分かりやすいですね。
うおー 7年放置してたSDカードを読みだしたら中にはいってた画像が壊れまくってるーーー pic.twitter.com/OvSm8rUslZ
— strv (@strv) March 29, 2022
SDカードの用途
以上の特徴からSDカードは以下のような用途に向いています。
- 多少壊れてもよいデータの保管
- 一時的なデータ保管
デジカメのメモリとか、データの持ち運びですね。
逆に以下の用途には向きません
- 常にデータの書き込みがされる用途
- 壊れると致命的なデータ(プログラム等)
なので、あんまりサーバとかパソコンのOSを入れておくのには向きません。だからSSDをハードディスクの代わりに使うのって結構危険なんじゃないかなとか思います。あと最近だと超小型PC(Raspberry Piとか)だとSDカードにOS入れたりしていますけど、あれもいつぶっ壊れてもおかしくないんじゃないかなと思っています(よくぶっ壊れた話も聞きますし)。
まとめ
そんなわけで、みなさんSDカードの特性を正しく理解して、よいSDカードライフを過ごして下さい。デジカメの場合は、ケチらず定期的に交換するのがよいかなと思います。フィルムカメラのフィルムに比べればずっと安いので(笑)。
関連記事
変更履歴
- 2023/10/22 微修正
- 2023/04/04 微修正、リンク追記
- 2021/01/07 SD読み込み時の瞬断に関して追記
- 2015/09/11 リテンションに関して追記