ネットワーク素人が自宅のネットワーク不具合をRaspberry Piで調査して解決するまでの戦いの軌跡

自宅のネットワークが遅い

 最近(2017年の12月)に、たまに家のネットワークが遅いなと思うことが多くなってきました。妻からも同様の不満が上がってきたので、間違いないようです。

 ネットワーク不調は、引越し早々もあったので今回で2度目です。早速、前回と同様に以下サイトでスピードを測定しました。

------ BNRスピードテスト (ダウンロード速度) ------
測定サイト: http://www.musen-lan.com/speed/ Ver5.6001
測定日時: 2017/12/16 11:43:00
回線/ISP/地域: 
--------------------------------------------------
1.NTTPC(WebARENA)1: 302.51Kbps (37.63KB/sec)
2.NTTPC(WebARENA)2: 337.25Kbps (42.07KB/sec)
推定転送速度: 337.25Kbps (42.07KB/sec)

 うわっ…私のネットワーク、遅すぎ…?

 以前不具合解消したとき測定したら、140Mbps出ていたので、100倍以上遅いです。

 メロス風に言えば以下です(上記記事より引用)

からあげは激怒した、必ず、かのネットワーク不具合を除かなければならぬと決意した。からあげにはネットワークがわからぬ。からあげは、おいしい食べ物である。ネットサーフィンして、Raspberry Piと遊んで暮して来た。けれどもネットワーク接続に対しては、人一倍に敏感であった。

 怒りのあまり「頭がフットーしそうだよおっっ 」と言いながら、ネットワークの不具合調査に向かいました。

ネットワーク問題の原因調査

ネットワーク異常個所の推測

 ネットワークが遅くなっている原因の調査を、ネットワーク詳しくないけど素人なりに考えてやってみることにしました。

 まずは、現状把握のために我が家のネットワーク構成図を書きます。


 頭悪い感じのネットワーク構成図

 ちなみにサーバルームというのは、マンションの戸棚の一角の以下の様な感じのスペースのことです。かなりごちゃごちゃしてますね。

 なお、写真に見えるNECのルータとSynologyのNASに関しては以下記事参照下さい。これらは最高です。

 最初にスピードを測定したのは、ネットワーク構成図の左下のネットワーク機器類というところに位置するPC(iMac)です。ただ、これだとハブやルータの問題の可能性もあります。インターネット以外の通信は特に遅くないので、これらは問題無さそうですし、ネットワーク管理会社に訴えても

「お宅の他の機器に問題があるのではないですか?」

 と、メガネをクイッとやりながら否定される可能性があります。メガネ野郎許すまじ!(私もメガネです)

 となるとやはり疑わしく、調査すべきなのは根元の幹線LANです!

 ただ、幹線LANを調べるには、有線LANにつながるPCが必要です。といってもiMacだと狭いサーバルームに持ってくるのが大変ですし、愛用のMac Book(ステッカーがペタペタ貼られているオタク仕様)は、無線のインターフェスしかないです。

 「どうしよう…」と思ってたとき、ふと目に入ったRaspberry Pi。そうだ!我々人類にはRaspberry Piがあるじゃないか!

 幸いにも最近買った小型ディスプレイもあるので、単体でネットワーク速度測定するにはうってつけ!というわけでRaspberry Piでのネットワーク速度測定を試してみました。

Raspberry Piでネットワーク速度の測定

 準備として、Raspberry Piとディスプレイを下記記事の要領でセットアップします。

 測定に使用するspeedtest-cliはRaspberry Piのターミナルで以下コマンド実行して、あらかじめセットアップしておきました。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install python-pip
$ sudo pip install speedtest-cli

 いよいよ測定してみます。


 幹線LANを確認


 幹線LANとRaspberry Piを接続

 speedtest-cliで測定

 1.33 Mbps!

 うわっ…私のネットワーク、遅すぎ…?

ネットワーク管理会社に連絡・バトル勃発

 幹線LANから遅いと、もう私にはどうしようもないので、ネットワーク会社に連絡することにしました。ネットワーク会社からは

「スイッチングハブや、ルータの可能性が考えられますので、確認いただけませんでしょうか?」

 という想定通りの応答が来たので(想像ですが、メガネかけた人だと思います)、上記の写真と過去の通信速度の測定結果をつきつけて「基幹LANで100倍以上遅くなっている」と伝えたところ、真面目な人と思ったのか、ヤバいやつと思われたのかわかりませんが、即座に調査してくれることになりました。

 そのあと、即ネットワーク管理会社側が問題発生していることを認めてくれました。あとは、すぐにネットワークが直って、遅かった分の期間の料金を返して貰ってめでたしめでたし…となれば良かったのですが、ネットワーク管理会社の回答は、要約すると以下2点の衝撃的な内容でした。

  • 修理のための工事予定は1ヶ月後
  • ネットワークが遅い期間の料金は払わない(正確には支払うという表現を一切しない)

 あの…WiFi使えないから自分の貴重なiPhoneのSIMの容量使っているのですけど…それは無いのじゃないでしょうか…

 仕方なくネットワーク会社と交渉することにしました。あまり交渉ごとは好きではないのですが、測定したデータや契約の内容から事実ベースで会社の問題点を指摘しつつ、たまに怒ったふりして相手の出方を伺うという、会社人生で身につけた汚いビジネステクニックを駆使しました。

 しかしながら、相手もクレーム対応は百戦錬磨のメガネ(想像)、まさに鬼畜眼鏡です。交渉は熾烈を極めました。途中何度か電話も来ましたが、電話が苦手なのと言いくるめられそうだったので断固拒否。持久戦を覚悟し、全てメールで証拠を残しつつ交渉を続けました。

ネットワーク管理会社との和解・解決へ

 粘り強く交渉続けること2週間。成果は以下2点でした。

  • 工事の予定時期は当初の1ヶ月後から2週間後に短縮
  • 今回の問題の原因の報告と対策

 ネットワークは、無事工事を終え、速度は多少戻って来ました。元のスピードほどではないですが、なんとか使えるかなと言うレベルです。

------ BNRスピードテスト (ダウンロード速度) ------
測定サイト: http://www.musen-lan.com/speed/ Ver5.6001
測定日時: 2017/12/28 14:34:07
回線/ISP/地域: 
--------------------------------------------------
1.NTTPC(WebARENA)1: 49.57Mbps (6.20MB/sec)
2.NTTPC(WebARENA)2: 19.59Mbps (2.45MB/sec)
推定転送速度: 49.57Mbps (6.20MB/sec)

 今回の問題の真因に関しては、管理会社の報告(メール)ではよく分からなかったのですが、キーワードを元に検索して出て来た以下記事が分かりやすかったです。

てくろぐ: IIJmioひかりの混雑の理由とバイパス手段(IPoE・DS-Lite対応)

 上記の補足として以下記事も読むと理解が深まると思います。

フレッツ回線が遅すぎる問題を IPv6/IPoE と DS-Lite で解決した - CUBE SUGAR CONTAINER

 端的に言うと、プロバイダ(ISP)のネットワークとNTTの「NGN」網というネットワークの接続部分にある「終端装置」という機器がどん詰まりしている(交通渋滞のイメージ)ようです。「NGN」とか「終端装置」というキーワードで検索するとこの話題がたくさん出て来ます。この問題、詳しい人にとっては有名な問題みたいですね。Twitterでも、私のネットワーク遅延に対して早くからこの問題の可能性を指摘くださっていた人もいましたし、この問題を避けるためにIPv6を使っている人もいるようです。

 はてな期待のニューカマー、勝間和代さん(id:kazuyomugi )も、IPv6に変更でネットワークが早くなっていたという記事を書いていましたが、真相はこの問題によって速度低下していたのが解消しただけなのでは?と思ったりしています(もちろん他の要因の可能性もあります)。

 同じく、はてなブロガーのHi (id:hisway306) さんが、私と同じ問題で苦しみIPv6対応で解決するまでを分かりやすく記事にされていますので、IPv6対応が可能で興味ある方は必見です。

 ただ、我が家のサービスはIPv6オプションを提供していないようなので、IPv6化以外の方法で解決するしかありません。

 ネットワーク会社の提案した対策は、以下でした。

  • 暫定対策として混雑しているISPから他のISPに切り替える(今回の工事)
  • 恒久対策として3ヶ月程度かけてマンションまで専用線を引く

 お金に関しては、結局ネットワーク管理会社からは一度も払うという話は出ませんでした。納得いかない面はありますが、年内に暫定対策が完了したことと、専用線を引くという対策も引き出せたことと、戻って来るお金も知れているので、メリットとコストと今後のことを天秤にかけ、ここらを落とし所とすることにしました(お金の要求はしないことにしました)。

 結果としてみれば、ちゃんと話も聞いてくれて、暫定対策と恒久対策も提案した上でそこそこ短期間で対応してくれたので、わりと誠実な部類のサービスかなとは思いました。酷い対応だったら、ここに会社名書いてたと思います(笑)

まとめ

 ネットワーク不具合を、素人なりにRapsberry Piを使って調査し解決すると共に、思わぬ日本のインターネットの闇(というかNTTの闇?)を知ってしまったという話でした。これ、まだそこまで騒がれていませんが、これから問題発生する人どんどん増えて行く可能性あるのじゃないかと思っています。今回は、たまたま気づけたのでよかったのですが、知らないうちに損をしないためにも、定期的な計測は大事だなと思いました。気づくのが遅くなっていたら、もっと後で更に苦しんでいたと思います。今後は、Raspberry Piで自動で定期的にネットワーク速度計測してログとるシステム構築しようかなと考えています。

 みなさんも、自身が使っているネットワークが遅いと感じたら、一度自分で測定をしてみることをお勧めいたします。案外、他人事では無かったりするかもしれませんよ。

参考リンク

NTT フレッツ光における通信速度などの現状について、背景や仕組みから正しく理解する 2020 | diary.sorah

Pythonでスピードテスト🏃 - 高橋かずひとのプログラミング、その他、備忘録。

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変更履歴

  • 2020/09/09 関連記事・参考リンク追記