「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」を読んでみた
新型コロナウイルス、私が住む愛知県でも感染者数が100人を超えてきました。一時期はだいぶ減少していましたが、どんどん増えていますね。
国民の行動を厳しく制限できる独裁的な国家以外で、新型コロナウイルスをまともに封じ込め対策できているところってあるのかな?と思い調べた結果、封じ込めに成功している国として、台湾やニュージーランドが挙げられていました。その中でも、台湾は場所的にも人口密度など、日本に近いところが多そうなので参考になりそうだなと思い「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」という本を買ってみました。
読んだところ、興味深いポイントがいくつかあったので、簡単に内容を紹介したいと思います。
台湾の新型コロナ対策
全体を通して感じたことですが、台湾の新型コロナ対策はレベル高いです。台湾以外の国がダメというより「台湾が素直に凄い」というのが率直な感想です。台湾から学ぶべきところは多くあると思います。
台湾でのコロナ対策が(今のところ)うまくいっている要因が多く挙げられているのですが、私が特に興味深く感じた以下3点を紹介したいと思います。
- SARSで経験した辛い経験
- オードリー・タン氏の存在
- 専門家を盾にしない
SARSで経験した辛い経験
台湾では2003年のSARS流行のときに、SARSを封じ込めるため1000人近い患者・スタッフを病院に閉じ込めるという悲劇があったそうです。
2週間の封鎖で、31人が死亡(内1名は自殺)し、封鎖の間には窓に「助けて」「帰りたい」と紙に書いて訴える様子が報道されたこともあって、国民にとって忘れがたい記憶として刻まれたようです。
このような痛い過去を国民全員で経験していることが、台湾と他の国の大きな違いとして表れているようです。これは、他の多くの国にはないバックグラウンドですね。ペストの頃の記憶なんて、忘れ去られていますからね。
オードリー・タン氏の存在
台湾の「天才IT大臣」ことオードリー・タン氏。日本でも話題になりましたが、本当に凄いです。経歴などを並べただけで、ほんと漫画のチートキャラですね。
- レベルが違いすぎて中学校を中退
- 12歳からプログラムを学び19歳でシリコンバレーで起業
- アップル含む多くのIT企業の顧問を歴任
- 「フォーリンポリシー」誌に世界の頭脳100人に選ばれる
- 男性から女性に性転換したトランスジェンダー
オードリー・タン氏は、民間のプログラマと共同で4日でマスクの在庫を可視化するアプリを開発しています。IT技術の使い方のお手本のような行動ですね。
専門家を盾にしない
政治家と専門家の役割分担がしっかりされているのが台湾の特徴のようです。
台湾でも専門家会議があるのですが、その知見をもとに政治的決断を下して、方針を丁寧に国民に説明するのは政治家の役割で、政治的責任をとるのも政治家とのことです。こうやって書くと、至極当たり前のことに思えますが、使命感と危機感を感じてやむなく矢面にたった専門家が非難を受けていた国もあったような気がします。それは異常なことで、その国のレベルの低さを表しているのではないかと思います。
まとめ
「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」という本を読んだ感想とポイントを紹介しました。日本を含む多くの国が学ぶべき点が多くあるように感じました。
本や現状から思ったのは、新型コロナウイルスに限らず、未知の病原菌に対する対策は、初期段階から全力で封じ込めるのが、経済にとって最良ということです。
「コロナなんてちょっと強いインフルエンザみたいなものだから気にするな」という考え方もあるのかな、と思ったことも無くはないのですが、現実問題としては色々な面で難しいのかなと今は考えています(特に情報統制のできない、少子高齢化の進む民主主義国家では)。
日本の良い面を挙げれば、OSS的な動きで日本全国の新型コロナ対策サイトが、各都道府県で次々と立ち上がったことです。また、医療崩壊を食い止められているのは、日本の医療従事者の献身的な努力があるものと思います。感染症対策の優秀な専門家もいることが分かりました。
悪かった面は、挙げるとキリがないように思えますが、特にオードリー・タン氏と並んで賞されるべき人を潰してしまったり、不要な分断が生まれているように見えるのは残念ですね。日本では、これから新型コロナウイルスで直接亡くなられた方、苦しんだ方以上に、今後、新型コロナウイルスで停滞した経済の影響で、人が亡くなったり苦しんだりするのではないかと感じています。
最後ですが、新型コロナ対策サイトや、新型コロナ関係の情報を以下にまとめています。なるべく出どころの明らかな情報を出展元情報つけて掲載しています。もし良ければ取捨選択の上、参考にしてみてください。そして、情報は自分で判断するようにしましょう。例えば、イソジンでうがいをすること1つとってみても、どれだけの意味・価値があるのか自分で考えて判断することが大切です。
参考リンク
〝神対応〟をみせた台湾のコロナ対策、日本が学ぶべきことは? 『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』野嶋剛氏に聞く WEDGE Infinity(ウェッジ)
【全文】オードリー・タン独占インタビュー「モチベーションは、楽しさの最適化」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
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