意外と奥深い書籍の装丁の世界

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書籍の装丁の世界が奥深い

 最近初めて単書を執筆したのですが、そのときに少しだけ触れたのが書籍の装丁の世界です。装丁って何て読むかわかるでしょうか?私は恥ずかしながら最初「そうちょう」って読んでました。「そうてい」と読みます。装丁は、書籍の表紙のデザインのことで、「どうてい」とは一切関係ないです。

 装丁という言葉を知ったのは、書籍のゲラの奥付をチェックしていたときです。ちなみに、奥付というのは、書籍の一番後ろにある、筆者や出版社の情報を記載したものです。私の書籍の場合は以下となります。

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 装丁という項目が並んでいます(書籍によっては、記載ない場合もあります)

 表紙に関しては、基本的に私はノータッチで出版社にお任せだったのですが、本の装丁に関しては、色々な人に「めちゃくちゃインパクトのある表紙ですね!」と言われてあらためて「デザインの力ってすごいな」と感じていたので、装丁に関しては、完成してからではありますが、非常に気になっていたのです。

 そんな気になる装丁。表紙のカバーは以下となります。

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 確かに、めちゃくちゃインパクトありますね。ちなみに、みた人は少ないと思いますが、カバーを外したデザインは以下です。

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 電車とかで読みづらいという声があったので、カバーを外したときのデザインは文字だけとか、地味にしてもらった方が良かったかもしれません(笑)

 そして、この表紙のデザインをしてくださっているのが、奥付にもある通り「tobufune」の小口翔平さんと奈良岡菜摘さんです。「他にはどんな仕事をしているのだろう?」と思ってtobufuneさんのサイトを見てみてビックリ。

 2020年の大ベストセラーの「FACTFULLNESS(ファクトフルネス)」!!

 ビックリしました。表紙のデザインに関しては、大ベストセラー級と言っても過言ではないでしょう。ちなみにtobufuneさんのサイトでは私の書籍に関しては一切触れられていないのですが、この仕事が黒歴史になっていないか心配です(笑)

森博嗣先生の書籍の装丁

 ついでに他の作家さんの装丁に関しても触れてみたいと思います。著名なベストセラー作家である森博嗣先生の場合です。デビュー作である「すべてがFになる」の表紙です。

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 こうやってみるとめちゃくちゃかっこいいですね。ちなみにこの表紙は初期のもの(奥付みたら、1999年発行の第5刷でした)で、今はリニューアルされて新しい表紙になっています(以下Kindleのリンク参照ください)。

 森先生は、装丁にはとてもこだわっていて、最初からカバーのデザインに口を出していたそうです。森先生の作家の収支という書籍に記載があります。

作家の収支 (幻冬舎新書)

作家の収支 (幻冬舎新書)

  • 作者:森博嗣
  • 発売日: 2015/12/18
  • メディア: Kindle版

 ちなみに、森先生のカバーデザインを多くしているのは鈴木成一氏というこれまた著名なブックデザイナーのようです。書籍の記載によるとその鈴木氏とも

初期には、喧嘩寸前の応酬もあった

 とのことです。完成してから装丁のことに気づく私とは雲泥の差ですね…レベルが違います。

 ちなみに森先生の、すべてがFになるから始まる「S&M」シリーズは、テレビドラマになったタイミングで、特別なカバーが作成されました。以下のように、ドラマ出演者がカバーになっています。

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 実は、このカバー面白い点が2つあります。1つは、実は下の帯にみえるところが、実は帯ではなくて帯っぽいデザインの印刷です。森先生は、どこかで「表紙のカバーは帯がなくても成立するデザインが良い」みたいなことを言っていた気がするので、この辺りも「帯なしのデザインがイマイチにならないように、いっそ帯をデザインに組み込んでしまえ」という考えだったりするのかもしれません(もちろん、このころは十分売れていたので、出版社にお任せだった可能性もあります)。

 もう一つは、実は2重カバーになっていて、カバーを外したらまたカバーが出てくる点です。

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 マトリョーシカみたい

 実は、今回改めて調べてみて、初めて2重のカバーになっていること気づきました(笑)しかし、スタイリッシュなカバーデザインです。

 そして、奥付みたら、なんと2014年時点で第35刷。

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 一体どれだけ売れているのでしょう…すべてがFになるとか、もう100刷超えているのはないでしょうか。おそるべし森博嗣先生…

まとめ

 書籍執筆で少し触れた、装丁の奥深い世界に関して紹介しました。今まで何気なくみていた本の表紙も、こうやって色々知ったり考えたりすると、見え方が少し変わってみますね。本屋さんや図書館いったとき、本の装丁や奥付を気にしてみると新たな発見があるかもしれません。

 私も、もし次の書籍を出す機会があれば、装丁にも口を出して森先生のように、装丁デザインの方と喧嘩寸前の応酬をしてみたいと思います(笑)

 というわけで、目立つ表紙の「からあげ先生のとにかく楽しいAI自作教室」絶賛発売中ですので、何卒よろしくお願いいたします!

補足

 私と妻のアイコンに関しては、表紙デザインとは別でドイツ在住のデザイナーいまがわ (id:i_magawa)さんに作成いただいています。

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