はじめに(追記)
SynologyのNASによるAmazonプライムフォトへの自動バックアップ機能はなくなりました。今は手動でバックアップする必要がありますので注意ください。
NASの買い換え
今までずっとI-O DATAさんのLANDISKをデータ保存用のNASとして使っていました。ちなみにNAS(Network Attached Storage)というのは、要はネットワークに繋がったハードディスクです。これ豆ね。自分はよくPCにLinuxとか入れてデータごとHDDを吹っ飛ばしたりしていたのと、家に複数PCあるので複数のPCからアクセスできるデータストレージがあると便利なので、家庭内でもNASを好んで使っていました。
今のNASも、少し容量が心配になってきた(2TB)くらいで、特に問題はなく困っていることもなかったのですが、Hi (id:hisway306)さんの以下の記事をみて少し考え方が変わりました。
http://history.hatenablog.com/entry/2017/01/07/173000 (現在非公開)
なんと記事によるとNASの機能でAmazonプライムフォトへ自動でバックアップができるとのこと。最近のNASってそんな機能あるの!?今、手動でのクラウドへの写真のバックアップ作業が苦痛で仕方なかったので、クラっと来てしまいました。上記記事で紹介されているQNAPさんのNASをすぐにでも買おうかと思ったのですが、深呼吸をして少し調べてみると、どうも最近は台湾メーカのQNAPさんとSynologyさんがNAS業界で今非常に勢いがあるということが分かりました。
QNAPさんとSynologyさんを見比べたところ、どちらもAmazonプライムフォトをはじめとしたクラウド連携はできるようなので、どちらも良さそう!迷っていたところ id:mana-cat さんの記事が!
燦然と輝くSynologyの文字!このあたりのデバイスに関しては、id:mana-cat さんに絶大の信頼を(勝手に)寄せているのでこれはSynologyで決まりでしょ!ただid:mana-cat さんのSynologyは4つディスクが入る最高級タイプで、自分には高すぎるしオーバースペックだったので、2つディスクの入る廉価バージョンのSynology DiskStation DS216jを購入しました。
2Bayというディスクが2つ入るタイプなので、Amazonが勧めて来たハードディスクを、レビューやネットでの評判をチラ見してエイヤーとWESTERNDIGITALの3TBのHDDを2台購入しました。6TBあれば今後そうそう容量には困ることはないはず!(と信じたい)
合計47,040円!!だけど価値はプライスレス!(と信じている)。既に2ヶ月くらい使っていますが、安定していますしプラグインも豊富でとても便利です。今まで自分の知っていたNASの概念を完全に覆してしまいましたね。今までは単に「ネットワークに繋がるハードディスク」という意識だったのですが、Synology社のNASは「小さなサーバーマシン」という印象が強いです。
Synology DiskStation DS216jのセットアップと使い方
以下DiskStation DS216jの組み立てかたやセットアップ方法ですので、このNASに興味のある方は見てみてください。
NASの組み立て
組み立ては簡単なのですが、私は1箇所愚かにも致命的な間違いをしたので、同じ不幸な人を出さないために詳細書いておきます。
Amazonで注文したらすぐ届きました
でかでかとしたSynologyの文字がちょっと恥ずかしい
ケースを外すとこんな感じ
あとはHDDをつけるだけ
簡単簡単!とか思ったのですが、ここで私は致命的なミスを!耐震のためのゆる止めのゴム製の治具を「なんだこの鼻クソみたいなやつ、いらんわ」とゴミ箱に捨ててしまったのです
自分が鼻クソと勘違いした部品。これはそのままにしておくこと!絶対取っちゃダメ!
ダメな取り付けの図です。
ちゃんと上記の写真のように治具の上からネジを止めましょう。
最初、ハードディスクがガタガタ揺れて「なんだこれ!台湾製はダメだな」とかちょっとでも思ってしまってすみませんSynologyさん!全部私が悪かったです!ネットで気になって調べて気付いて慌ててゴミ箱を漁る羽目になりました。
完成の図
裏側から見た図
IO-DATAのNASと並べた図。IO-DATAのやつは1BayなのもありSynologyさんのNASは大きいですね。
以下の電波基地に格納しています。
うすい扉1枚分のしきりしかないですが、音は全くと行っていいほど気になりません。妻からも苦情ないです(これ大事)。静音性は問題ないですね。
ここまで書いておいて何ですが、以下のサイトの説明の方が詳しいのでこちらを参照した方が良いですw 私が致命的な過ちを犯しているのも以下の記事で気づきました。
NASの初期セットアップ
NASにLANを繋いで、起動したらブラウザから
find.synology.com
か
diskstation:5000
でアクセスできます。
私の環境では、なぜかfind.synology.com
からしかアクセスできませんでした。
アクセスした後はセットアップ画面が出て来ます。初期セットアップに関しては、ネットに色々情報もあるので省略します。自分が参考にしたのは以下です。分かりやすいです。
私の場合は、この後一旦ディスクを初期化したので、上記の推奨パッケージのインストールはまた後で実施することになりました。
一回アクセスして、IPアドレスがわかれば、MacならCtrl + k
から、以下のようにファインダからアクセスすることも可能です。
NASのディスク初期化(RAID 0)
注記:現在は、ここで書かれている設定のRAID 0でなく、ハードディスクの安定した運用(電源入れながら容量増大が可能)のメリットをとり、初期設定のSHRを使うことにしました。SHRで使う場合は、この項目の設定はする必要ありませんが、参考のために情報は残しておきます。
この後、NASに接続した2つのディスクを初期化します。SynologyのNASは2台のHDDを入れてセットアップするとSHRというRAID設定になっています。RAIDとはHDDのミラーリングのことで、要は2台のHDDを同じないように保つことで1台のNASが壊れてもデータを保護する自動バックアップのことです。1台壊れても平気な代わりに、容量は基本的に半分となります。最初このことに気づかず、3TBのHDDを2台繋げたのに、2.73TBしか空き容量がないことにずっと悩んでいました(アホ)。
容量少なくてもよい人は、もちろんこのままの設定で良いのですが、私はHDDの容量最大限に使いたかったのと、あまりRAIDを信頼していないのでRAID 1でのミラーリングによるバックアップ効果にそれほど期待していないので、たくさん容量の使えるRAID 0で初期化することにしました。この設定は基本的に後からは変えれないので、購入初期段階でどうするかを決めておきましょう。
ちなみに私がRAID 1でのミラーリングをそれほど頼っていない理由は、昔RAID組んだHDDを設定間違えて全部まとて吹っ飛ばした経験(私が悪いのですが)だったり、そもそも同じ時期に買ったHDDは同じ時期に壊れると思っていたり、地震とかで物理的にまとめて壊れたらアウトだしといったところです。なので、バックアップは基本的にはクラウドを使う方針です。
RAID 0は当然バックアップ的には弱いので、RAID設定どうするか(もしくはしないか)は、自身の使い方、環境、性格、NAS以外のバックアップ方法をなどを加味したうえで決めるのがよいかなと思います。
まずは、セットアップのときと同様にfind.synology.com
からNASにアクセスします。
NASのコントロール画面
ここで左上のメニュー画面をクリック。以下のような画面が表示されるので、ストレージマネージャーを選択して起動します
ストレージマネージャーが起動したら、左のHDD/SSDをクリックして、2台HDDが認識されていることを確認
続いてボリュームをクリック。RAIDがSHRなので、空き容量が2.73TBしかないです ここで上の削除をクリック。 ダイアログが表示されるので、積極的に削除してきます。
しつこく確認画面が出るので、さらに削除 次に左上の作成をクリック、カスタマイズ選択
RAIDの単一ボリューム選択
カスタマイズを選択
次へをクリック
RAID 0を選択
ディスクチェックは、サボっていいえに
説明は自分が分かりやすい名前にすればOK
空き容量が5.4TBになった!
これでハードディスクの初期化はOK
この作業をすると、ハードディスクの内容は空になるので、パッケージセンターを起動して
推奨パッケージをインストールしておくと良いでしょう。
NASからNASへの直接ファイルコピー
続いては、今まで使っていたNASからNASにコピーする必要があります。ただ、これもパソコン使ってコピーしてたら、コピーが完了するまでパソコンを終了できないという恐ろしいことになります。できればNAS同士で勝手にやって欲しいところ。そんな都合のいいことができるの?できるんですよ奥様!
まずは、Filestation
を起動。推奨パッケージをインストールしていたら、既にいくつかフォルダが作成されています。
次に共有フォルダ
の作成をクリック。doc
というフォルダを作成します。
自分に書き込み/読み込み権限を与えます
次に、ツール
->リモートフォルダをマウント
->CIS共有フォルダ
を選択
以下のような画面になるので、古いNASのIPアドレス(下の例だと192.168.10.108
)とフォルダを入力。マウント先に先ほど作成したフォルダを選びましょう
これでdoc
というフォルダに今まで使っていたNAS(私の場合はIO-DATA LANDISK)がマウントできます。マウントすることで、SynologyのNASからdoc
というフォルダを介して古いNASにアクセスできるようになるのです。凄い!
doc
というフォルダの下にマウントした古いNASのファイルが見えると思います。あとは、このdoc
のファイルをSynologyの他のフォルダにドラッグ&ドロップすれば以下のようなダイアログが出て来ます。ここでは、スキップを選択します。
次に以下のように表示されるので、コピー上書き
をクリックしましょう。これで、ファイルがNAS同士で勝手にコピーしてくれますので、NASにアクセスしているPCの電源を切っても大丈夫です。
充実した写真関係機能
写真に関しては、PhotoStationというパッケージをインストールすると自動で作成されるphoto
というファイルに入れておくのがよいです。自動で変換が始まります。この変換は非常に時間がかかります(10万枚以上写真がある自分は1週間近くかかりました)。
Photo Station変換中…
ただ、変換が終わると以下のようなアルバムをPCやスマホ(要スマホアプリ)から閲覧できるようになります。
PCから見る場合は、ブラウザでSynologyのメニューからPhoto Stationを起動すればOKです。スマホからみる場合は、SynologyのDS Photo
というスマホアプリをダウンロードして起動するだけです。
写真の自動バックアップ機能
Amazon Photosへの自動バックアップ機能もついています。詳細は以下の記事がわかりやすそうです(本機能は2020年11月に廃止されました)
追記:残念ながらSynology NASからの直接のAmazon Photosへの自動バックアップ機能はなくなってしまいました。とても残念ですが、PCのAmazon Photosのアプリを使って、SynologyのNASをバックアップ対象として指摘すれば同様の使い勝手で自動バックアップできます。NASに写真を保存すると自動でクラウドにもバックアップされるので手間もかからないし、いざというときの安心感があります!以下記事が参考になります。
Macでの使用例は以下です。以下はSSDのバックアップの例ですが、バックアップ対象にSynologyのNASを指定すればOKです。
他、Lightroomを使う人は以下が参考になりそうです
【カメラマンのためのNAS入門】NASを使った“快適写真保存術”|第4回:Lightroom活用編 - デジカメ Watch
iPhoneの写真の自動バックアップもできたりするようです
iPhoneの写真をSynologyのNASに自動バックアップする方法 - kengo700のナレッジベース
凄いぜSynology
NASでLightroomのカタログを同期したときにLightroomが頻繁に落ちる問題の対策
LightroomとNASを組み合わせて使うとき、LightroomのカタログファイルをPCとNASで同期することを推奨する記事があります。ただ、この設定をするとLightroomが頻繁に落ちるケースがあるようです(私も悩まされていました)。
原因は、競合回避のためのロックファイルが悪さをしているようです。対策としては、PC側のアプリ(Cloud Station Drive)の設定から、同期の設定のファイルフィルタに「*.lrcat.lock」を追加し、ロックファイルを同期しないように設定すればOKです。
本件に関しては、以下記事の「Cloud Station Server / Cloud Syncの設定についての追記」が非常に参考になりました。
2019年1月に考えてみたRAW現像環境(PC/モニター/NAS)の個人的最適解 | Imaging World
外部ネットワークからNASにアクセス
なんと外部のネットワークからNASにアクセスすることも可能です。ブラウザに以下を入力するだけです(○○○はユーザー名)。
http://QuickConnect.to/○○○
今の自宅、グローバルIP持ってないから外部からは無理だろうと思って試して見たら、なんと普通にPCからでもスマホからでもアクセスできてしまいました。凄い。そして、試しに、結構セキュリティ厳しい会社のパソコンからダメだろうなと思いながらテスト的にアクセスしたら、なんと謎技術によりアクセスできてしまいました。怖い。
とっても便利なのですが、これってユーザ名とパスワードさえわかれば、誰でもどこからでも自分のNASを好きにいじれてしまうということなので、セキュリティ的に心配だなと感じました。以下のQuickConnectのチェックを外すと外部からのアクセスを禁止できます。
詳細は以下記事がわかりやすかったです
高機能なNASを手軽に設置するならSynologyがおすすめ | Yuichiro Suzuki Reports
まとめ
NASを買い換えたのでまとめてみました。NASって単なるネットワークに繋がるHDDと思っていたのですが、このSynologyのNASを買って完全に考え方が変わりました。イメージ的にはディスプレイのないパソコンと思った方が近いかもしれません。既に購入してデータを移行してから2ヶ月程度経っていますが、再起動することなく非常に安定して動作しています。操作に関しても、GUIのインターフェースもこなれていますね。ファームウェアも頻繁にアップデートされているようです。
逆に色々なことが出来すぎて、自分のような初心者だと困ってしまうこともあったのですが(RAIDの設定とか)、ネットを調べると色々情報が出てくるので助かりました。熱心なユーザーが多い証拠ですね。この記事も、Synology NAS初心者の一助になりましたら幸いです。
この記事を読んでNASが気になった方は、Synology DiskStation DS216j とWD HDD 内蔵ハードディスク3TBのセットでの購入を検討してみて下さい。
「はてなニュース」さんへの寄稿
デジタル写真管理をテーマにした記事を、はてなニュースに寄稿しました。本記事で取り上げたNASの他、この記事で十分に書ききれなかったバックアップに関する考え方もまとめてありますので、もしご興味持たれた方は一読いただけましたら幸いです。
参考リンク
Synology DS216j セットアップ - 雑記帳 - JasminInfo
NASや外付けHDDからのデータ移行時の時間のかかるファイルコピー処理といったタスクを、NAS自身に任せられるのが秀逸
保存版!Synology NASを使うなら知っておきたい17のギモンにお答えします! - studio9
物凄い充実したQAです。必見!
関連記事
変更履歴
- 2020/12/12 Amazon Photosへのバックアップ機能廃止と対策に関する追記
- 2019/01/20 NASでLightroomのカタログを同期したときにLightroomが頻繁に落ちる問題の対策に関する追記
- 2017/12/13 参考リンク追記
- 2017/07/26 「デジタル写真管理システム」構築の記事へのリンク追加
- 2017/04/01 Amazonプライムフォト(現Amazon Photos)へのバックアップに関して追記