協力した書籍が不適切な引用をされた問題で考えた著作権法と適切な引用の範囲

ブログで紹介した書籍に適切な範囲を超える引用がありました

 ブログで紹介したInterface7月号の画像処理特集記事ですが、不適切な引用があったようです。

 すでに、Interface誌編集部は全面的に否を認めて、元となった書籍作者の @MuneQiz さんに謝罪済みとなっております。書籍で参考文献として @MuneQiz さんの書籍は紹介されていることと謝罪済みということも合わせて、この記事では盗用という表現はしないこととします。

 この不適切な引用の問題ですが、実は私も無関係でなく引用元となった @MuneQiz さんの同人技術誌「ゼロから作るRAW現像」に協力として名を連ねていたりします。詳しくは以下記事参照ください。

 協力といっても、コードを少し参考にしていただいただけで、文章は全て @MuneQiz さんのものなのですが、全ページ目を通してチェックしているはずなのに、不適切な引用に気づかない上にブログで紹介してしまったことを反省しております。言い訳ですが、初めてみたときに図を含めて既視感はあったのですが、同じRAW現像という事項を扱っているので、どうしても似ているところは出てくるのかなと考えていました。

 とても素晴らしい内容の特集だと思ったのですが、オススメしづらくなってしまったことが本当に残念です。また、元となった「ゼロから作るRAW現像」は、Pythonで本当にゼロからRAW現像を手を動かして学べる素晴らしい書籍ですので、RAW現像に興味ある方は是非購入検討ください。

不適切な引用を見つけることの難しさ

 今回の問題、Interface誌の編集部の肩を持つわけではありませんが、不適切な引用をみつけるのは難しいと感じました。自分のポンコツ具合は置いておくとしても、実際に文章を書いた人以外だと、まるまる同じ文章があることには、なかなか気づけないと思います。自動チェックも、技術同人誌含めて無数にある書籍との重複をチェックするのは現実的ではないと感じます。

 多くのケースで、編集と書き手との信頼関係が前提になると思います。それを裏切るようなことをしてはいけないですし、自分自身も、商業誌でもブログでも文章を書くときは改めて気をつけないといけないと思いました。

 文章なら、コピペをあえてしない限りは、よほどうっかり不適切な引用ということは無いと思いますが、同じ機能になるとどうしても同じような書き方になってしまうプログラミングのコードなどは特に気をつけないといけないなと思いました。特に何より大切で、忘れてはいけないのはオリジナルのコンテンツを創作した作者への敬意ですね。

著作権法の適切な引用の定義

 良い機会なので、著作権法における適切な引用の定義も改めて確認しました。引用に関しては、著作権法の第32条の1項で規定されています。

 引用すると、下記のように書かれています。

第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

 結構曖昧ですね。どうとでも判断できてしまいそうです。ネットの情報で調べると、過去の裁判例などを元に以下の5点がポイントだと書いてあるものが多かったです。

  1. 引用であるとはっきりと判断できる
  2. 主従関係で、引用箇所があくまで従である(主の方が量が十分多い必要がある)
  3. 引用した内容を改変してはいけない
  4. 公表済みのものから引用する(書籍・論文・ネットのサイト等)
  5. 出典元を明示する

 はてなブログの場合は、引用の機能があるので、そちらを使って他の文ときちんと区別することが大切ですね。上記の著作権法からの引用の箇所も、はてなブログの引用機能を使用しています。

 漫画の絵なども、引用の範囲内となると書かれているサイトもありましたが、個人的にはグレーゾーンであると思っています。絵になってくると主従の関係で、なかなか従とは言えないと思いますし、漫画の絵を引用する場合、原本を持っていない一般の読者の場合、スキャンしたり写真を撮って載せることになると思います。その際に、絵は当然劣化してしまうので、引用した内容の改変に当たる可能性は高いと思います。著作者も自分の絵が、ボケボケの写真でネットに貼られていたら悲しくなりそうですよね。

 基本的に著作権は、著作者が訴えないと犯罪とならない親告罪なので、やはりここでも著作者に敬意をもった行動をすることが大切だと思います。二次創作とかは全てこの読者と著作者の信頼関係の前提の上で存在しているものと理解しています(二次創作に関して合法、違法の議論はここではしていません)。また、最悪訴えられても仕方がないという覚悟がない以上は、ネットではグレーゾーンには踏み込まないのがベターだとは思いました。

文章以外の著作権

 今回は文章を取り扱いましたが、デザインや音楽などは更に難しいと思います。似ている、似ていないの議論は昔からありますし、意図的に盗作しているケースと、潜在意識に残っていて似てしまうケースもあると思います。

 以下の博報堂の例の記事が、興味深い内容でした。

XX 博報堂と著作権侵害

まとめ

 協力した書籍の不適切な引用の問題をうけて、改めて著作権法を見直してみました。正直言うと、私自身、昔よりは著作権に気を使うようになっていますが、昔の記事を含め、パーフェクトに引用を守れているとは言えないなと改めて思いました。一度昔の記事も見直して、まずいものは対処したいと思います。

 そして改めて思うのが、オリジナルなコンテンツの作者へのリスペクトの大切さですね。そして、自分自身も誰かの著作物でなく、自分でオリジナルのコンテンツを産み出し続けたいなと思いました。パクるよりも、パクられたいマジで。あれ、これってひょっとして不適切な引用?

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