リチウムイオン電池の特性からパソコン・デジカメのバッテリを長持ちさせる方法を考える

バッテリを長持ちさせるには

 ネットでACアダプターつなぎっぱなし?MacBookのバッテリー劣化リスクを抑える画期的な方法となかなか面白い記事を見たのをきっかけに、Mac Book Proとかデジカメのバッテリを長持ちさせるために私が気をつけていることをかこうかなと思います。
 具体的には以下4点です。

  • 満タンまで極力充電しない(MacだとACアダプタを充電終わっても刺しっぱなしは絶対ダメ!)
  • バッテリを空まで使用しない
  • バッテリ残量が20%〜60%程度に収まるように充電を繰り返す
  • 暑いところに放置しない(寒いところはOK)

 ここらへん、結構間違って理解している人も多いのと、気をつけることだけ書いても(私は)すぐ忘れてしまうので、ちゃんと理由からまとめて書いておこうと思います。そんなん興味ないという人は上の項目だけ覚えておいてもらえると基本的にはOKです。ただし、リチウムイオン電池を使用している前提ですのでそこだけは注意下さい。

リチウムイオン電池

 最近だと、多くの電子機器のバッテリに使用されています。実は私も仕事の関係で少しだけリチウムイオン電池を勉強したのでこんなことを書いています。
 リチウムイオン電池の利点は、他の鉛やニッケル水素と比べて電圧が高く電力も大きいので使いやすいことですね。最近はかなり価格も下がってきました。欠点は危ないところ、たまに電池爆発のニュースを聞きますがあれはほぼリチウムイオン電池です。なので、市販品は物理的にも電気的にも色々保護がされています。それでも爆発する。
 そんなリチウムイオン電池ですが、劣化には主に2つのモードがあります、カレンダ寿命サイクル寿命です。ここテストに出ますのでよく覚えておきましょう。

カレンダ寿命

 放置することによって起こる劣化です。リチウムイオン電池の特徴として、以下の条件だと劣化が激しくなります

  • 高温のとき
  • 充電量が多いとき
  • 充電が空のとき

 勘違いしている人もいるのですが、リチウムイオン電池は低温だと劣化は進まないので保存には有利です。低温で悪くなるのは性能です(低温では容量が減るのとESRと呼ばれる抵抗成分が増えるので電圧が下がってしまう)。あと、充電量は多い程劣化は激しくなります。ただ、空になってしまうとそれはそれで激しく劣化するというやっかいなものでもあります。理想的には低温で10〜20%程度の容量で放置しておくのが一番保存にはよいことになります。

サイクル寿命

 充放電による劣化です。基本的には充放電しないのが一番よいです。といってもそんなわけにもいかないので充電せざるをえないのですが、実は0%〜100%までの充電を繰り返すというのが、リチウムイオン電池にとっては一番厳しい条件になります。低めの容量でちょっと充電しては放電してというのが優しい条件になります。ここは文章だけだと分かりづらいと思いますので、分かりやすい図を付けてみます。

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 分かりやすい図

 ニッケル水素電池はこういった継ぎ足し充電をすると「メモリー効果」が起こって見かけ上の容量が減ってしまうため誤解している人もいるかと思います。リチウムイオンバッテリは基本的にメモリー効果は発生しませんので継ぎ足し充電してOKです。むしろ積極的に行って下さい。

まとめ

 これらがリチウムイオン電池の基本的な特性ですので、おのずとリチウムイオン電池の寿命を延ばすためには最初に述べたような対策が有効になってくるわけです。理屈が分かれば対策は簡単ですね。私は、例えばMac Book に関してはAC電源刺しっぱなしにせず、極力20〜80%程度の容量におさまるように使うようにしていますし、夏はガンガンクーラつけてます(自分のためにも)。2年くらい使っていますが、バッテリの劣化はそれ程していない(気がします)。たまにAC電源刺しっぱなしで寝てしまうと朝起きてオイオイ泣いてしまいます。
 まあ、何にせよこういう基本的な特性をおさえておくことは色々応用がききますし、誤った情報に踊らされることも無くてよいと思います。ちなみに上記に書いたのはあくまでリチウムイオン電池に関する特性です。他の電池だと当然特性は違います。また、機器によってリチウムイオン電池を電子回路等で制御していますので多少は事情変わってきます。賢い高級な機器は、多分過充電や過放電はある程度勝手に防いでくれるでしょうし、その制御が特殊な場合は多少上記の内容と矛盾するような使い方が推奨される場合もあるかもしれませんので、気になる人は機器のマニュアルは熟読するようにしましょうね☆


 関係ないけど、新しいMac Book Pro欲しいです

補足

 トランジスタ技術の1月号が電池特集だったので、もっと知りたい人は買ってみるとよいかと思います。私も買いました。

トランジスタ技術 2014年 01月号 [雑誌]

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