戦国時代に学ぶビジネス術:戦国最狂の戦法「捨て奸(すてがまり)」編

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歴史に学ぶ

 最近、歴史関係の本や話を読んだり聞いたりするのが面白いと思うようになりました。昔は、歴史とか全く興味無かったんですけどね。特に、殺るか殺られるかの戦国時代に有名な武将がとった戦術や、武将の生き様みたいなものが面白いです。そういった情報から、当時の武将の考え方だったり、窮地に陥った時の切り抜け方を学べば、仕事や日常生活にも活かせることが多くある気がします。ビジネスだって、生命さえ取られることはそうそうないものの、非情な戦いであることは変わらないですからね。

 そんな中、最近「超現代語訳戦国時代」という本が中々面白かったです。とても読みやすいので、エンタメとして気軽に読めます。

 この本で出てきた中で、面白いなと思った戦術が「捨て奸(すてがまり)」です。この戦術はVoicyという音声メディアで人気パーソナリティーのサウザーさんも話していた記憶があります。歴史好きな人にとっては、恐らく基礎知識なのでしょうね。今日は、その「すてがまり」の話をしてみたいと思います。

鬼島津の最狂の戦法「捨て奸(すてがまり)」

 「すてがまり」は、鬼島津と呼ばれた戦国武将「島津義弘」のとった戦法です。関ヶ原の戦いで敵陣の真ん中から脱出する際に使ったと言われています。

 どういう戦法かというと、撤退するときに大将である島津義弘を逃がすために、少数精鋭の部隊を殿(しんがり、一番後ろのことね)に残します。そして少数精鋭の部隊はどうするかというと…なんと、死ぬまで戦って時間稼ぎをします!

 そうです。捨てがまりとは、壮絶なトカゲの尻尾切り作戦なのです。ちなみにこの「すてがまり」になり、死ぬまで戦ったのが、島津義弘の甥である「島津豊久」です。漫画「ドリフターズ」の主人公としても有名ですね。ドリフターズでは「すてがまり」になった島津豊久が、異世界転生することから話が始まります。「ドリフターズ」面白いのでオススメです。

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「すてがまり」から奇跡の生還を果たした人物

 退却戦の難しさと重要性から「すてがまり」とは言わなくても、少数精鋭で決死の覚悟で殿(しんがり)をつとめて敵を食い止めるという話は、他にも多くあったようです。島津家ではないので、正確には「すてがまり」では無いのですが、撤退戦として有名なのは、直江兼続と前田利益(花の慶次で有名な前田慶次)の長谷堂城の撤退戦です。参考文献は、もちろん「花の慶次」とその原作「一夢庵風流記」です。

花の慶次 ―雲のかなたに― 1巻

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一夢庵風流記 (新潮文庫)

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 奇しくも、島津豊久が捨てがまりとなっていた関ヶ原の戦いと同時期、長谷堂城を攻めていたのが上杉家の総大将の直江兼続でした。直江兼続は、仲の良かった石田三成と家康を挟み撃ちにする作戦だったと言われています(違うという説もあるようです)。ところが、石田三成が関ヶ原の戦いでわずか一日で家康に負けてしまったので、直江兼続は撤退戦を余儀なくされます。直江兼続は、なんと総大将自ら殿をつとめます。

 この撤退戦は、苛烈を極めたらしく、直江兼続が「もはや切腹しかない」と切腹の準備までしたと言われています。そのときに

「言語道断。左程の心弱くて、大将のなす事とてなし。心せはしき人かな。少し待(ち)、我手に御任せ候へ」

 と言い、直江兼続の切腹を諌めて、獅子奮迅の戦いぶりを見せたのが前田慶次です。「花の慶次」や「戦国無双」などの漫画やゲームでも最大のクライマックスとなる戦いですね。

まとめ

 戦国時代に学ぶビジネス術として「すてがまり」を紹介しました。ちなみに「すてがまり」の奸(がまり)って何なのでしょう?漫画「ドリフターズ」では島津豊久が「すてがまる」という表現も使っていました。「がまる」というのは、九州地方の方言で「からかう」という意味があるので「自分の命を捨てて敵をからかう」といった意味合いなのかもしれません(詳しい人いたら、優しくそっと教えてください)。

 それはさておき、この「すてがまり」戦術、戦国を自分の仕事に置き換えてみたらどうでしょう?周りに、あまりに無茶な仕事を強いられている「すてがまり」となっている人が1人や2人いるのではないでしょうか?ひょっとしたら、自分自身が「すてがまり」になっているのでは?と思った方もいるかもしれません。

 仕事をしていると、ときには自分が「すてがまり」となることが避けられない場面に直面することもあるのではないかと思います。そのとき、島津豊久のように華々しく散るのか、直江兼続のように莫逆の友に窮地を救われ一生を得るのか、はたまた第3の手段を見つけるのか。それは自分次第だと思います。幸いなのは、ビジネスでは命まで取られることは(基本的には)ないことですね。案外、島津豊久のように華々しく散ったら、異世界転生(転職)できて良い感じになったりするかもしれませんよ(あまりに適当なアドバイス。真に受けないでください)。

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追記:捨てがまりの起源

 たまたまネットでみつけたのでメモ。完全な創作ではなく、かなり原典遡れるようです。

【追加あり】「薩摩・島津の捨てがまり」が言われ出した起源の考察 - Togetter

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  • 2020/09/28 起源に関してのリンク追記