「トヨタ生産方式」を読んでトヨタ生産方式を学んでみました

フォロワーさんおすすめ書籍「トヨタ生産方式」

 モノづくり・ハードウェア関係の書籍・動画を紹介したとき「おすすめの書籍やサイトなどご存知のかたは、是非教えてください。」と記載しました。

 そのとき、複数のTwitterのフォロワーさんにおすすめしてもらった書籍が「トヨタ生産方式」でした。2人以上のフォロワーさんに勧めてもらった本は迷わず買うことにしているので、このときも秒で購入しました。

トヨタ生産方式

トヨタ生産方式

 読んでみたら、自分なりに色々発見があったので簡単に感想を書きたいと思います。

 ちなみに、私は製造業で働いてはいますが、ライン設計等はしたことないので、基本的には素人に近い立場での感想になりますのでその点はご了承ください。

「トヨタ生産方式」の感想

 名著と呼ばれるだけあり、色々示唆に富んでいたのですが、印象に残った3点を紹介したいと思います。

  • 逆転の発想とカンバン方式
  • ジャスト・イン・タイムと下請けいじめ
  • トヨタ生産方式とIndustory 4.0

逆転の発想とカンバン方式

 従来前から後ろに流れる、フォードが作り上げたラインの流れを、後ろから前と逆転させたというのがトヨタ生産方式の革命的なところだったようです。

 少量多品種生産をしたい、在庫を減らしたいというのが目的で、この逆転を実現するためにツールとして使われたのが有名なカンバンらしいです。カンバンの説明は割愛します(ネットで調べたらたくさんでてくると思います)。カンバンは、あくまでツールであり手段なんですね。

 作者の大野さんは、アメリカのスーパーマーケットの発注の仕組みが、自動車のラインと流れが逆だったことから、その発想を自動車に適用することを思いついたらしいです。他にもきっと同じことを考えたことは何人かいたのではないかと思います。一番凄いのは、強い信念でそれをトヨタという大企業で全社的に広めたその実行力ですね。会社での政治とか考えるだけで胃が痛くなりそうです。自分には到底できない仕事ですね。

ジャスト・イン・タイムと下請けいじめ

 ジャスト・イン・タイムは、書籍には

必要な部品が、必要なときに、必要な量だけ、最終組立工程の各ライン・サイドに到着すること

 で、要は在庫を持たないための仕組みのことを言っているようです。ラインの流れを逆転することで、これが実現できるのですが、問題はラインで作るものを切り替える(段取り替え)時間が無駄になってしまうことです。通常、段取り替えは2,3時間かけていたので、これを頻繁に実施するような生産方式は、常識はずれだったのですね。フォードの大量生産方式は、この段取り替えの時間を極小化することに最適化した方式と言っても良いのだと思います。

 トヨタは、この課題を高度な生産技術により実現します。トヨタでは、2,3時間かかってた段取り替えが、20年で3分まで縮めたそうです。3分縮めたんじゃなくて、3分にするってフルマラソンが中距離走になるようなものですよね。具体的な作業知らない自分でも、とてつもないことが起こっていることが想像できます。

 作者の大野さんは「トヨタについてこい!トヨタが関係会社含めて、全員引き上げて強い製造業を作る!」(超意訳)というマッチョな思想で、この方式をトヨタ全社・グループ会社と広めてきます。今では、このジャスト・イン・タイムには社外にも求められているわけですが、この生産方式は技術も会社の資本力も必要になります。

 力のない下請けは、在庫を作り置きすることでしか、ついていけなるわけですね。風の噂に聞く、トヨタの下請けイジメって構図は、このあたりから産まれているのかもしれないなと本を読んで想像したりしました。

トヨタ生産方式とIndustory 4.0

 ドイツが国家レベルで進めている「Industory4.0(インダストリー4.0)」という製造業分野プロジェクトがあります。

 自分はIoTの分野からIndustory4.0を知って「ドイツはすごいなー」とか思っていたのですが、Industory4.0が主目的にしているマスカスタマイゼーションって、トヨタ生産方式が掲げる「多品種少量生産」そのものなんですよね。

 そう考えると、実はトヨタ生産方式をデジタル化(DX化)したものが、まさにIndustory4.0なのでは?という気がしてきました。

 トヨタ生産方式の本では、デジタル化には結構否定的なことが書いてあったりします。最も、これは当時のPCの価格を考えると仕方ないことではあります。本の著者の大野さんは「ヘンリー・フォード(フォード社作った人)が今生きていたら、トヨタ生産方式を実現していたに違いない」と書いているのですが、著者の大野さんがもし今生きてたら、真っ先にトヨタ生産方式のDX化を推進してIndustory 4.0を日本発にしていたのでは?と思ったりもしてしまいました。

まとめ

 「トヨタ生産方式」を読んだ感想を書いてみました。一応愛知での製造業の片隅で働く者として、カンバン方式とかジャスト・イン・タイムとか名前は聞いたことあったし、説明も受けたので、なんとなく分かった気になっていましたが、全く分かっていなかったことが分かりました(笑)やはり原典にあたることは大切ですね。

 トヨタ生産方式に関しては、ものづくり太郎さんの動画もわかりやすかったので、こちらも合わせてみると理解が深まるかもしれません。

 もし詳しい方(ライン設計している人)とかで、何かコメントありましたらそっと教えてください。「自分はトヨタの下請けいじめにあっている!」という方は、私に言われても困りますので、そっと自分の心の内にとどめておいてください(笑)

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