ダメなチェックリストが組織を滅ぼす

大きな企業の無意味なルール

 みなさんの会社には、チェックリストはあるでしょうか?

 特に製造業だと図面を出図するとき、製品を出荷するとき、会社の大小を問わず、何かしらチェックリストがあるのではないでしょうか?その中でも、歴史ある大きな会社ほど、過去の問題点を反映しつづけてた、秘伝のタレと化したモンスターチェックリストをたくさん隠し持っているイメージがあります(想像です)。

 私も、過去数々のモンスターチェックリストをみてきました。もしチェックリストソムリエの資格があれば、間違いなく合格したでしょう。チェック項目をみたら

「お……​。おお……。おおおお……。このチェック項目は、過去に xx 億円の品質問題を引き起こしたときに追加された10年もののチェック項目…」

 みたいな感じで「ワインの雫」風にチェック項目を表現できます。

 そんな中、Twitterでイチロヲさんの以下のようなツイートをみかけました。

 感じるところがあったので、チェックリストソムリエの私は、以下のようなツイートを思わずしてしまいました。

 そう、いかにルールやチェック項目を増やして安心している人の多いことか。逆です、ダメなチェックリストは組織を滅ぼすのです。実際に、私が過去にいた組織は跡形もなく滅んでしまいました(JTCフィクションです)。

 そんな不幸(しつこいですがフィクション)を繰り返さないため、組織を滅ぼすようなダメなチェックリストがどんなものかを、具体的な内容には触れずに、抽象化してみなさんに紹介したいと思います。

ダメなチェックリスト

基準が曖昧

 ダメなチェックリストの基本ですね。ちょうどタイミングよく、以下のようなチェックリストが話題になっていました。

 日本版・アメリカ版というくくりは若干雑にも思えますが、言い得て妙ですね。実際にこんな感じだったので何の反論もできないです。

 どうやって確認すれば良いのか意味不明の項目もあったりします。昔、全く日本語の意味がわからず、先輩に聞いたら

「あ、これ俺が起こした問題のせいで追加されたやつだ。原因はxxxで、だからxxxxしないといけなくて…(めっちゃ複雑で特殊な事情)」

(そんなん分かるかよ…)

重要度が全く違う項目が無秩序に並んでいる

 これもダメな例ですね。めっちゃ重要なものと重要でないものがバラバラに並んでいると、重要でないものをチェックしているうちに

「このチェックリスト、無意味なのでは?」

 という気持ちが強くなり、適当にチェックしているうちに、重要な項目まで見逃してしまったりしまうのです。

量が多すぎる

 単純に多すぎるのもよくないです。多すぎるのに、スピードを求めるとどうなるか。残業して頑張る人もいるかもしれません。残業が禁止されていたら?サービス残業する人もいるかもしれませんが、チェックリストを適当にチェックする(ときにはチェックしない)人がいても不思議ではありませんね。人間ですもの。

理想的なチェックリストを作る方法

 ダメな例をみてきましたが、では理想的なチェックリストとはどのようなものでしょう。まだ、私は究極のチェックリストをみたことがありません。ただ、少しでもよくする方法はあると思います。そのために考えられる方法をいくつか紹介したいと思います。

定期的にメンテナンスをする

 定期的な見直しは大切ですね。必要なくなった過去の伝統・迷信的なものが見直されずにチェック項目として残っているのは百害あって一利なしです。

 真面目な人でも、1項目意味がわからず、適当にチェックしてしまうと、他のチェック項目も、適当にチェックするようになってしまうのです。モラルハザードですね。そういう例をたくさんみてきたので、人間の性なのだと思っています。

教育・解説

 チェックリストを迷いなくチェックできるように、最初に教育をしたり、丁寧な解説をどこかに書いておくことです。チェック項目の背景や、重要性・具体的なやり方が分かれば、多くの人間は真面目にチェックします。それで全くチェックしない人は、完全なサイコパスなので、教育とかチェックリストとかは別次元の問題になってくると思います。

自動化

 そもそも人間に任せる以上、ミスは起こります。チェックリストで人手でチェックというのは、最後の手段であって極力自動化なり、ミスがしにくい仕組み・システムを作ることが一番大切なんだろうなと思っています。

 そのために重要なのが、デジタル化・ソフトウェア化ですね。ソフトウェアにしてしまえば、自動化もぐっとしやすくなります。具体例を出すと、例えば電子基板の測定をするとき、アナログな電圧計だと、わざわざその値を書き写して、正しいかチェックする必要がありますが、PCでデジタル的に電圧を取得できる計測器を用いれば、正しい電圧かを自動で判断するといったことができそうですね。

 もちろん、そのためには多くの場合、コストと時間の投資が必要です。ここにお金を投資することを無駄と思うかどうかが、組織が崩壊に繋がるかの一つの分かれ道のような気がします。

チェックリストなんてやめちゃおう

 たまたま記事公開直前に、以下記事をみつけたので追記しました。

 ざっくり言えば「細かいチェックリストなんて不要で、大切なのは方針や思想を共有すること」という過激(?)的思想です。

 この考えは同意すること多いですね。ただ、前提として組織のメンバーのレベルの高さ(特に、上位層)が求められる施策だと感じました。レベルの高い組織は、ひょっとしたらどこもチェックシートなんてものはなくて、抽象的な思想のみを共有しているだけなのかもしれません。上記記事で挙げられていたのはリッツ・カールトンですが、Googleとかもそんな感じかもしれませんね。どうなのでしょう?

まとめ

 駄目なチェックリストが組織を滅ぼすのでは?という仮説の話をしました。具体的なことをかけないので、少し分かりにくかったかもしれませんが、多分経験がある方は、激しく共感するところあるのではないかなと勝手に期待しています。

 何故モンスターチェックリストが産まれてしまうかというと、結局楽なんですよね。それ自体はたいしたコストもかからないですし、チェックするほうもさせている方も仕事をしている気になれます。チェックシートの項目さえ膨大なら、何か問題あったときも「チェックをサボった人のせい」と言い訳ができます。そしていつしか、自分で作り出したはずのチェックリストが怪物となり組織が滅ぼされると。なんだか怪談みたいですが、典型的な大企業病と呼ばれるものの一つではないかと思います(他には、セクショナリズムなどありますが、その話はまた機会があれば…)。

 みなさんの組織のチェックリストはどんな感じでしょうか?もしよければ、問題にならない範囲でこっそり教えてもらえると嬉しいです。

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