横井軍平さんの本を読みました
以前、任天堂とイノベーションに関する記事を書きました。
そのときは、横井軍平さんの本がAmazonで高騰していて読めなかったのですが、近所の図書館で「ゲームの父・横井軍平伝 〜任天堂のDNAを創造した男〜」という本を見つけたので、喜び勇んで借りて読みました。
- 作者: 牧野 武文
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/11
- メディア: 単行本
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なお、念のため説明すると、横井さんはゲーム&ウォッチやゲームボーイなど、任天堂が世界のNintendoとしてゲーム機メーカに生まれ変わる契機となる製品を生み出した偉大なエンジニアです。
追記:以下の本が、上記の本に加筆したものです。巻末のインタビュー記事も興味深かったのと、安いしKindleでも買えるので、今から買うなら以下がおすすめです。
- 作者: 牧野武文
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横井軍平さんの名言
かなり心に刺さる名言があったので、いくつか引用します。
ものを考えるときに、世界にひとつしかない、世界で初めてというものを作るのが、私の哲学です。それはどうしてかというと、競合がない、競争がないからです。
オンリーワン is ナンバーワンですね。
安く作らないと売れないというのは、単なるアイディアの不足なんです。日本国内で作っても高く売れるだけのアイディアを考えたらいいじゃないですか。それは決して難しいことをしなくても、実に他愛もないことで実現できるのです。
他愛もないと言い切れるところが凄い
もの作りが好きな人の中には、そのメカニズムや発想にのめりこんでいく研究者タイプの人と、自分が作ったものを他人に自慢して喜ぶガキ大将タイプの人がいるように思えますが、横井さんはどちらだとおもいますか?」
横井さんは、この問いに「ガキ大将ですね」と即答したらしいです。自分もそちらのタイプかもしれないなと改めて気づかされました。
「枯れた技術の水平思考」とイノベーション
横井軍平さんと言えば、「枯れた技術の水平思考」の発想法です。「枯れた技術」すなわち十分枯れて成熟した技術を他の用途に転用つまりは「水平思考」することで大きな価値を生み出すものです。
IAMASの小林茂教授も、イノベーションのための重要な考え方として、枯れた技術の水平思考を挙げていました。
ただ、イノベーションって小林先生のプレゼンを聞いて、単なる技術革新では無いということは分かったのですが、じゃあ結局なんなのかというと実はよく分かりませんでした(恥)。
色々考えた結果、イノベーションってニーズとシーズのギャップを埋めるようなものなのかなというのが自分なりの一つの結論です。ニーズだけだと夢物語ですし、シーズだけだと技術オナニーですし、両方がガッチリ噛み合って入れば大抵既に世の中にあるはずです。
両者にギャップがあり実現できないものを、なんらかの方法でそのギャップを埋めるとイノベーションになるのかなと。絵にすると以下のような感じでしょうか。同じような図ありそうですが、意外に見つけられなかったので自分で書きました。
このニーズとシーズのギャップを埋める方法論として、まさに横井さんのいう「枯れた技術の水平思考」があるのかなと思ったりしました。コンピュータービジョンの権威であるカーネギーメロン大学の金出先生の言う「素人発想、玄人実行」も、同じようなことかもしれませんね。
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ドラッカー先生も、イノベーションのためにはギャップに注目しろと言っているらしいので、多分そういうことなのでしょう。同じようなことを言っている人は多分たくさんいると思いますが、自分で色々考えてみてイメージできたことが重要かなと思い書き連ねてみました。
まとめ
横井軍平さんの本を読んで考えたことを書いてみました。「枯れた技術の水平思考」ってそこまで知名度高く無いようなのが残念ですね。Appleの製品にも通じるような、普遍的な良い考えだと思うのですけどね。
以下の本によると、Perfumeの演出でも有名なライゾマティクスの真鍋さんなど、多くのクリエイターが影響を受けている考えらしいです(以下の本参照)。
JAPANESE MAKERS: 日本の「新」モノづくり列伝
- 作者: 草なぎ洋平
- 出版社/メーカー: 学研マーケティング
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私も「枯れた技術の水平思考」でどんどん電波なものを作っていきたいなと思いました!そして、この本を読んでゲームボーイが無性にやりたくなり、近くのリサイクルショップでみかけた1200円のゲームボーイを衝動買いしてしまいました(笑)
縦ラインが抜けていたので、Y型ネジ用ドライバ買って分解して修理しないと!
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