「なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか?」を読んで起業について考える

起業について考える日々

 最近、起業が少し気になっています。特に自分が凄い起業したいというわけではなくて、周りの人が大体起業しているからです。仕事の同僚も、一緒に働いている自分より若いメンバーも大体起業していて

「えっ、起業してない自分は少数派?」

 みたいな感じになっています。「人間は周り5人の平均になる」みたいな話もある上に、実体験として、周りに本を書く人が増えたら自分もいつの間にか本を書いていたり、周りに転職する人が増えたらいつの間にか転職していたりしたので、そのうち起業しちゃう可能性も全く無くはない気がします。

 ただ、自分には特に世界を変えたいとか、大金持ちになりたいとかだいそれた野望みたいなのはないので、全然起業にピンと来ていません。そんな自分にピッタリのタイトルの本、「なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか?」があったので、読んでみました。

『なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか? 異端の経営学者と学ぶ「そこそこ起業」』書評

 前置きが長くなりましたが、本の感想です。起業関連の本とか、死ぬまで働く・資金繰りで綱渡り・創業者同士の仲違い・修羅場(SHURABA)とかの胃が痛くなるような不穏(?)な書籍が多いのですが(実際よくそんな話も聞きます)、この本はそうでなく、地に足がついたというか「自分でもできるんじゃないか?」というくらいのビジネスの例が多く出てきて、イメージしやすかったです。イーロン・マスクの本とか、読むのは面白いですが具体的な事例としては、あまりに超人すぎて参考にならないですからね。

 企業研究という研究領域があるのもこの本で初めて知りましたが、ビジネスの具体例と合わせて、論文が紹介されているのも、単なる個人の体験談のレベルを超えていて良かったです。何らかの体系化や理論付けがされていると、事例に対する理解も深みも増しますしね。

 書籍の最後の章で触れている、「楽園を作る」「ライフスタイル企業家」という、好きなことの延長線上で、ゆるく収入に結びつけてビジネスに繋げるという提案も、自分にはかなり刺さりました。というか自分が既にやっていること、目指していることほとんどそのまま言語化してもらった感じです。

起業関係の書籍

 ついでに最近読んだ起業関係の書籍を軽く紹介します。

松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記

 東京都知事に立候補した安野さんの本。フィクションですが、AIスタートアップに関してはかなりデジャビュ感があるというか、解像度高いので実際に起業しようとしている人(特にAI系)は一読の価値があるのじゃないかなと思います。もちろん単純にエンターテイメント小説としても楽しめます。

どう生きる?ーー人生戦略としての「場所取り」の教科書

 起業の本というわけではないですが、キャリアについて起業・副業含めて考えるきっかけになる本です。30代以降の人向けの本ですね。

ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる

 オモコロの原宿さんが「流通空論」というPodcast番組ですすめていて読んだ本。綺麗事でない、生々しい起業・経営の話が書かれています。以下のような印象深いフレーズの意味は本を読むとよく理解できます。

「何か新しいことを実現するためには、いっけん本質でないことこそ本質的」

「人間はやはり地道に生きねばならん」

会社経営とはなにかと。最後の最後にやらなければいけないのは、領収書の打ち込みではないかと

イーロン・マスク

 凄すぎて、自分のような凡人には直接的には参考にならないですが、起業の一番エクストリームな例として知っておくことには意味があるかなと思います。

 あと、単純に面白いと思います。こんな人間がいるんだという意味で。ジョブズと同じレベルで、一緒に働きたくはない(働けない)ですが。

ザ・スタートアップ ――ネット起業!あのバカにやらせてみよう

 復刊した書籍です。ダイヤルQ2とかiモードなどの、いわゆるネットの黎明期の話が中心です。少し昔の話になりますが、盛り上がり方などは今の生成AIにも似たことがあるので、こういう歴史を知っておくのもなにかの役に立ちそうな気がします。

 単純にエピソードとしても面白いものが盛りたくさんですね。

まとめ(起業ってなんだろう?)

 「なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか?」をはじめ、いくつかの本を読んで起業について考えたことをとりとめもなく書いてみました。

 考えてみて気づいたのは、実は自分は既に起業しているのではないかということです。会社に所属して働く以外にも、個人事業主として、書籍の執筆や講演など、複数の収入を得ていますし、周りの起業した人の話を聞いても「あれ?自分もやっていることあんまり変わらない?」と思うこともしばしば。

 違いとしては、規模(法人かどうかの含む)と、何か社会に革新的な変化をもたらすかどうかだと思います。このあたりは「もっと、大きなことをするべき」とおしかりを受けることもあり、それは自分への期待へのあらわれと思い、とてもありがたく思う一方、自分がイメージできない以上、今の自分の限界なのかなとも感じています。

 起業って軽々しく人にススメられるものではないですが、雇用が不安定な人(小さい会社で働いている人)や、定年後の働き方に不安を感じている人は、小さくビジネスをはじめてみるのは選択肢としてはよいのではないかと思います。

 興味ある方は「なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか?」をはじめとして、紹介した本を手にとっていただけると、色々気づきがあるかもしれません。

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  • 2024/08/19 ザ・スタートアップを追記