本をたくさん売るための試行錯誤 〜面倒なことを超えて〜

本がベストセラーになりました

 好評発売中の拙作「面倒なことはChatGPTにやらせよう」。Amazonのランキング、総合2位までに上り詰め(おぱんちゅうさぎには勝てず…)、Amazonや書店でも品切れ続出。発売前の増刷に加えて、発売から4日で1度目の重版、8日で2度目の重版決定。複数書店でのランキング高評価獲得(そして品切れ)。

 これは、本がかなり売れた状態、ベストセラーと言っても良いのではないかと思います。

 Amazonランキング 総合2位

 複数書店でのランキング1位獲得

 発売前の増刷+直後の重版

 発注ミスを疑うレベルで高く積まれた書籍

 すごい良かったのですが、本が売れたことの理由は正直よく分からないですし、運の要素が強いんだろうなと思ってます。一つタイミングずれたら盛大に爆死していた可能性も全然ありましたし、狙って再現することも(少なくとも自分1人では)不可能だと思います。

 その中で今回良かったのは、共著者のカレーちゃん、編集さんのおおはしさんと、作戦を練って売れる確率を上げるための施策を細かくやってきたことかなと思ってます。

 色々やったので、試行錯誤を(ほぼ全部)公開したいと思います。公開する理由としては、地道なことの積み重ねで、特に隠すようなこともないのと、他の人がそのまま真似をしたら再現できるというものでも無い(と思う)からです。

 それでも、これから本を書こうとしている人、書いている人、編集者の方で本を売るために何をしていいかわからない人の何かしらの参考にはなるのではないかなと思います。あと、本の宣伝になるといいなという下心もちょっと(だいぶ)あります。

本をたくさん売るためにやること

よい企画を立てる

 多分これが一番といってよいくらい重要ですね。ターゲット、コンセプト、考えるべきことは色々あります。

 この書籍の企画に関して、私がしたことは共著者のカレーちゃんの以下ツイートにのっかっただけです。ほんとそれが全てです。

 なので、企画に対しては私からは偉そうなことは何も言えないです。アドバイスとしては、自分で企画できなくても、私のようによい企画を出した人に乗っかるという方法もあります。チャンスは身近に転がっているので逃さないようにしましょう。

 もう少し書くと、ターゲットに関しては、広過ぎても刺さらないし、ニッチ過ぎてもパイが少ないしで非常に難しいです。正直出してみないと分からないところが多いので、商業誌なら編集者の方と相談するのが良いと思います。

 「面倒なことはChatGPTにやらせよう」について書くと、ChatGPT Plusという有料版のサービスを前提にするという最初のハードルが高い書籍なので、正直そこに不安材料でした。ここに関しては、著者と編集者の3人で協議し、本のコンセプトを重視するというリスク(ここでのリスクは不確実性の意味)をとりました。

書籍を頑張って書く

 企画が決まったら、書籍を頑張って書きましょう。ここは頑張るしかないですし、売れるためには当たり前ですが良い本であることが重要です。良い本でも売れない本はたくさんありますが、その逆はあんまりありません(ないことはない)。

 良い本という定義もあいまいですが、これは自分で考えるしかないかと思います。ただ、売上に関していえば、特に重要なのは書籍のターゲットと出すタイミングです。運もありますが、ChatGPTのような変化の激しいものはタイミングが重要なので、タイミングを逃さない執筆スピードも重要です。今回は執筆に慣れていた自分とカレーちゃんが共著だったのがめちゃくちゃ功を奏しました。きっかけのツイートから1日後には出版社と打ち合わせをして、その一ヶ月後には初稿を書き上げていたので、多分技術書の商業誌としては最速に近いスピード感で本を作れたのではないかと思います。

 そして、今回はたまたまChatGPTの大型アップデート直後に、少し発売延期してアップデート対応して書籍を出すという最高のタイミングで本を出すことができました。これは運もありますが、執筆スピードも重要だったかなと思っています。

 執筆のノウハウに関しては、色々セオリーはありますが、書く人によって大きく違いますし、本記事の本題ではないので割愛します。本記事末尾の関連記事を参照してください。

参拝する

 書籍を書き上げたらあとは発売するまでボーッと待つ?そんな時間はありません。そうです、参拝です!毎日参拝しましょう。参拝することの重要性に関しては以下記事参照ください。

 この書籍では、最初に編集者のおおはしさんが参拝を初めて、最後は3人一緒に東京タワーで参拝をするといったフィナーレを迎えました。おおはしさんは、このためにTwitterアカウントを作る気合の入れようでした。

宣伝(発売前)

 Amazonのページが公開される日、書店(Amazon)で発売される日には、共著者と編集者でタイミングを合わせてツイートをしてもりあげたりしました。このあたりのテクニックは、けんすうさんの以下記事を参考にさせていただきました。

 ツイートのフォーマットは、以下のえるエルさんのフォーマットがちょうど話題になっていたので、参考にさせていただきました。

宣伝(発売後)

ブログ

 色々ブログ記事を書きました。この記事もそのうちの1つですね。

インタビュー

 いろいろなインタビューにも出させていただきました。自分たちで企画して提案したものもありますが、大半は書籍を出したことで、周りの方から声をかけていただき実現したものとなります。周りの皆様に感謝ですね。以下が一部になります。

書店周り

 基本的に、編集者のおおはしさんが書店周りをしてPOPを置いたりしてくれたのですが、タイミングがあったときに3人で書店をまわったりもしました。

 あとは、東大の生協には手作りのポップを置いたりもしました。書店周りに関しては、自分は好きなので楽しんでやってましたが、出版社によっては書店との関係を気にするので、一度相談しておいた方が良いと思います。

YouTube配信

 こちらはカレーちゃんがめっちゃやってくれました。プロンプトを全部実行するというライブ配信をして、noteでまとめた記事が大きくハネました。

 カレーちゃんが、狙いについて書いてくれていますが、さすがの一言です。

 やっぱ動画コンテンツは強いし、積み重ねは大事だなーと思いました。

サポートサイト・コミュニティを作る

 書籍のサポートサイトに加えて、今回実験的に、書籍購入者限定のDiscordコミュニティをつくってみました。

 コミュニティを作るのは、変化の速い分野だったのでサポートを兼ねて、読者同士でディスカッションしたり助け合ったりできると面白いかなと思って立ち上げました。

 これが結構もりあがって、書籍購入者限定にもかかわらず、400人以上が参加し、有志の勉強会が開催されるといった非常に活発なコミュニティになっています。売上にどれだけ効果があるか、正直測りかねているところはありますが、こうやって読者と繋がれること自体が、自分にとっては楽しいし嬉しいですね。

応援してもらう

 書籍の感想記事を多くの人に書いてもらいました。一部の人には献本などはしていますが、基本的にボランティアベースでみなさん書いてくださっているので、本当に感謝しかないですね。以下記事に感想ブログ記事(の一部)をまとめています。

 この書評とか、はてブ1000以上ついてて凄いです。本の感想でこんなにバズっているの初めてみました。

最後は運

 繰り返しになりますが、最後に重要なのはやっぱり運ですね。大型アップデートのタイミングが少しずれていたら、少しピントのずれた本になっていましたし、それこそサム・アルトマン騒動の結果次第では、本を出すことすらできなかった可能性がありました。

 そういう意味で、生成AIで本を書くのは色々リスクや難しさをはらんでいるなとは感じます。以下のえるエルさんの記事も参考になるかもしれません。

 まあでも自分は、書きたかったですし、書きたいことを書くのが一番とは思います。

まとめ

 本をたくさん売るための試行錯誤に関して書きました。色々書きましたが、売れるかどうかは結局分からないので、とにかく書いて出してみるしかないというのが結論です。そして、共著者のカレーちゃんと編集者のおおはしさんとチームを組めたのが本当によかったと思います。売ることまで考えて、一緒に作成練ったり、実行したりするのは凄く楽しかったです。「マーケティングは著者のやることじゃない」とか「コンテンツ作成は著者だけでやるべき(編集者はあまり関わらないほうが良い)」という考えもありますが、今回はその垣根を超えるような活動ができたのが面白かったですし、やって良かったなと思っています。自分は黙っても売れるような大物じゃないですしね。

 また、宣伝について多く書きましたが、本を出すというのは、その大半が文字を書き続けるという孤独な作業です。その孤独に耐えれる人だけが、たくさん本を売ることができるのではないかなと思います。ChatGPTが生まれても、それは大きくは変わらないのではないかなというのが自分の実感です。逆に言えば、ChatGPTで簡単に生成できる本は、すぐにその価値を失うでしょう。この本も、実はChatGPTの本なのに、出力結果は別として文章を書くのにChatGPTはほとんど使ってなかったり(使えなかったり)します。書店周りや宣伝も、1部はAIにお願いできたとしても、基本は泥臭い地道な作業です。でも、結局そういう泥臭いことをやり続ける人が強いということは、しばらくは変わらないのではないのかなと思います。といい感じにしめつつ、最後にいやらしい宣伝をしたいと思います。

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